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社説
  平成17年1月5・20日合併号
 

日本の宗教文化が注目される年
戦後60年、国民の信仰回復が課題に
世界の平和構築、宗教和解に貢献を

社主 前田外治

熊野本宮大社の裏山から見た熊野の山並み。古来、本宮大社は左下に見える鳥居の所にあったが、明治22年、熊野川の大洪水で流され、今の場所に遷された

 

 

新年おめでとうございます。


 今年は戦後六十年、戦後日本が還暦を迎え、再出発する年であります。平成二十五年に行われる伊勢神宮第六十二回式年遷宮の八年前に当たり、五月から御用材を伐り出すための山口祭(やまぐちさい)などの準備が始まります。三月二十五日には「愛・地球博」を愛称に愛知万博が開催され、社叢学会は「森に生きる日本文化」をテーマに出展し、六月三日には神宮遷宮「御杣山(みそまやま)神事」のハイビジョン実況中継もあります。三月二十四日からは第十九回国際宗教学宗教史会議世界大会が「宗教―相克と平和」をテーマに東京で開かれるなど、世界の関心が日本の宗教文化に集まる年となりそうです。


 しかし、わが国の宗教を取り巻く環境は厳しいものがあります。神棚がある家は全国で五割を切り、仏壇は六割という状況で、神宮大麻の頒布数は九年間減少し続けています。昭和二十年代に七割前後あった「信仰を持つ」人の割合は、現在では三割を切っています。
 國學院大学教授の石井研士氏は、その最大の要因は高齢者の宗教離れにあると言います。従来、日本人の信仰は若年層は低いが、加齢につれて自然に高まっていました。ところが戦後教育を受けた高齢者は、死を意識するようになっても信仰を持たないのです。
 加えて深刻なのは、宗教団体に対する批判的な見方です。最近、石井教授らが行った調査では、「信頼できる」は仏教が66・5%、神道が49・3%、キリスト教が38・7%なのに対して、新しい宗教団体はわずか3・4%(複数回答)です。また、NHK放送文化研究所が一九九八年に行った「制度や組織への信頼度比較」では、最も信頼しているのが裁判所や法律制度の72%、次いで学校や教育制度の55%、企業が40%なのに対して、宗教団体は24%(同)でしかないのです。
 戦後教育を見直す上で、教育基本法に「宗教的情操の涵養」を明記することが一つの焦点になっています。もっとも、この言葉が最初に現れたのは昭和十年の文部省次官通牒で、明治以降の近代教育が知識偏重だったため、戦前においても宗教教育は極めて貧困だったのです。その意味で、宗教性の育成は明治以来の課題ともいえます。
 私たちは宗教者にありがちな独善に陥ることなく、こうした社会状況を冷静に見据え、まずはわが身を正し、教団の刷新を図り、信仰回復に努めなければなりません。その上で、宗派教派を超え、国民の宗教性回復を図る必要があります。
 わが国で宗教が重視されない大きな原因は、日本の伝統宗教が自覚的でないからだといわれます。多くは自然に芽生え、習慣的に行ってきたことから、これが自分の信仰だと意識することが少ないのです。それが日本の宗教文化の良さでもありますが、問題は世界では通用しないことです。
 グローバル化する世界において、各国、各民族はそれぞれの存立を賭けてアイデンティティーを求めています。それを与える最も強力な要素が宗教であるため、宗教は極めて自覚的に語られ、その結果、宗教対立が目立つようになってきました。本質的なレベルで世界の平和を実現するには、諸宗教間の和解と一致が不可欠なのです。
 日本の宗教者も宗教和解の一端を担ってきましたが、その拡大が願われています。そこで思い起こすのは、かつて比叡山の葉上照澄老師がキリスト教、イスラーム、ユダヤ教の和解を求めてエジプトに乗り込んで行かれた信仰と情熱です。
 例えば、平和構築に向け、国連の立て直しが急がれています。国連が強化されなければ、米国の一極主義はますます強まり、それに対する反発がテロや紛争を招きかねないからです。日本はドイツやインド、ブラジルとともに安全保障理事会の常任理事国入りを表明し、国連改革に前向きな姿勢を示していますが、宗教界からも何らかの提言が必要です。
 注目されるのは、フィリピン政府や世界平和超宗教超国家連合が提案している宗教議会の創設です。現実に宗教が政治を動かすほどの力を持ちながら、それを正当に反映する国際機関のないことが、無益な宗教対立を助長してきた面があります。二十一世紀の国連の在り方として、世界の主な宗教指導者を取り込むような構想が求められています。
 また、民族や人種の概念を超えたモンゴル斑点同族世界平和連合の設立など、新しい発想による平和構築の提言もあります。危機の時代には、天啓のような形で世界の枠組みを変えるような運動が世界的に起こるもので、そうした動きにも注目したいものです。
 ボランティアの世界に「グローバルに考えローカルに行動する」という言葉があります。これを宗教に援用すると、世界の情勢を頭に入れながら、周りの人たちに役立つ活動をする、となります。仏教界が始めた、ひきこもり支援の「てらネットEN」などまさにこれでしょう。地域のコミュニティーセンターとして活性化を図っている社寺も多くあります。そうした地道な取り組みで宗教への信頼を回復し、国民の宗教性を高めていけば、ユニークな宗教文化をもつ日本が世界の平和に貢献する道も開けてくるのではないでしょうか。

 

 

 

年頭のご挨拶

神社本庁総長
矢田部正巳


神社本庁総長
矢田部正巳

 

 年頭にあたり、まづ以て、謹んで皇室の弥栄を寿ぎ、新年の賀詞を申上げます。


 本宗と仰ぐ神宮の御事につきましては、昨年四月に平成二十五年に斎行となります第六十二回神宮式年遷宮について、天皇陛下の御聴許を拝しました。乙酉の年を迎へ、私たちは心も新たに、皆様とともに国民総奉賛の機運を高めて参りたく存じますので、どうか倍旧の御理解、御協力を賜りますやうお願ひ申上げます。
 昨年六月、総長に就任して以降、相継ぐ風水害、新潟県中越地震への対策等重要案件が次々と惹起しました。被災神社の速やかなる復興に向けて、役職員一丸となって鋭意努力して参るとともに、このやうな緊急の課題に対して速やかなる対策がとれるやう、危機管理体制の整備についても検討して参りたく存じます。天照大御神が天岩戸におかくれになった折、八百万の神たちが神集へに集へ賜ひ、神議りに議り賜ふたやうに、我が国には困難に直面した際には智慧を出し合ひ、徹底的に議論を重ねて結論を得る伝統があります。かやうな時こそ伝統に倣ひ、一つ一つの難問に対し、解決に向けて叡智を出し合ひ、議論を重ねて鋭意取組んで参らなければならないものと存じます。
 結びにあたり、皆様方の今年一年の御多幸を祈念申上げ、新年の御挨拶と致します。

 

<2面>

  • 新年の挨拶1

 

<3面>

  • 新年の挨拶2

<4面>

  • 新年の挨拶3

<5面>

  • 新年の挨拶4

<6面>

 

  • 欧 州
    イスラム過激派増える
    各国は寛大な宗教政策を転換か

  • 第10回財団法人アジア刑政財団世界大会
    犯罪防止に向け各国の役割協議
    マカオ

  • カンタベリー大主教
    米聖公会を批判
    同性愛者の教区主教任命は分派的行動

<7面>

  • 16年度宗教法人指導者講習会
    不活動法人6000に注意悪用されるケースも
    文化庁

  • 都仏教連合会・成道会の集い
    岡本護国寺貫首を大導師に

  • 東本願寺で報恩講
    堂衆50人が親鸞ゆかりの坂東曲
    京都

 

<8面>

  • 本紙講演会(上)
    宗教の発生とその展開 
    國學院大学教授 石井研士
    都市空間に息づく日本の宗教
クョスコニョ    [1] 
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