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  6月20日号社説
 

家庭解体の風潮を許すな

 

 ニューズウィーク日本版六月十六日号で「おかしいぞ! 日本の結婚」を特集している。その内容は、事実婚や通称婚、DINCS(共働きで子なし婚)、シングルマザー、同性婚、さらには夫婦別姓を推奨するもの。「結婚の形が多様になり、世界の国々では制度も変わってきた。だが日本では、あらゆるカップルが同じ枠に押し込まれている。このままでは結婚制度で『世界の孤児』になりかねない」とおせっかいも甚だしい。

 

文化共産主義


 しかし、これが単純なおせっかいでないことは、社会思想史を少しかじれば分かる。彼らは社会を構成する基本単位である家庭の解体を目指す、確信犯としてジャーナリズムを利用しているのである。故レーガン元米大統領の補佐官だったパトリック・ブキャナン氏は『病むアメリカ、滅びゆく西洋』(成甲書房)でこうした動きを「文化共産主義」と呼んでいる。社会革命から文化革命へと、形を変えた共産主義にほかならないからだ。
 巧妙な彼らは、日本人に少子化対策という巧妙な餌をぶら下げる。二〇〇三年の合計特殊出生率(女性が生涯に産む子供の数)が1・29となり、一向に歯止めがかからない状況に、結婚制度を多様化すれば解決できるとささやきかける。
 その結果、読売新聞六月十一日付の「論点」では、渥美由喜富士通総研上級研究員が、少子化対策の第一にシングルマザーへの積極的支援を挙げている。フランスでは婚外子の割合が40%にも上ることから、日本もそれに追随せよと。
 上記ニューズウィーク誌には、事実婚で三人の子供を持った幸せそうなスウェーデンの家族や、男性同士で結婚し代理母に産んでもらった双子を育てている家族を紹介している。しかし、少年犯罪がまん延している現実には触れない。多様な家庭とは要するに崩壊した家庭であり、その影響を最も受けるのは子供たちである。

 

ジェンダー理論に汚染


 人間の欲望の中で最も取り扱いの難しいのが性欲である。それゆえ、多くの宗教では性欲の抑制を説き、中には結婚を認めないものもある。人間が社会生活を営むに当たり、この性欲をどう制御するかが大きな課題となる。結婚・家庭という枠組みは、性欲を治めるための文化所産ともいえる。
 その性欲を、文化共産主義者たちは解放しようとしている。狙いは家庭解体であり、その先にある社会解体である。問題なのは、国連や政府がその片棒を担ぎ、家族解体政策を推進していることだ。米国ヘリテージ財団のパトリック・フェイガン氏は、米国が国連の進める女子差別撤廃条約を批准しない理由を、破壊的な社会政策の故としている。そして、国連事務局はいわゆるジェンダー理論に汚染されており、同条約の中にある言葉を拡大解釈しながら、各国の文化規範を変えようとしており、その核心が、性行為の結婚以外のあらゆる形態への普遍化である、と述べている。日本政府が同条約に基づいて進めているのが男女共同参画社会であり、それを推進する条例を定めるよう自治体に圧力を掛けている。極論すれば、政府が家族解体の政策を進めているようなものである。
 それに対して、性欲を結婚と家庭の中に安定させようとするのが、日本の文化を大切にする過半の常識的な国民である。子供たちも家庭において両親に育てられた方が健全に育つ。家庭で生まれ、両親に愛されて育ち、やがて大人となって結婚し、新しい家庭を築く。こうした人間の基本的な文化を、一時的な事情で壊してはならない。つくり直すのに膨大な時間とエネルギーを要するからだ。
 こうした問題に宗教も無関心であってはならない。ジェンダー理論に基づいた性欲の解放に最も強く抵抗しているのが、カトリックなど世界各国の宗教者である。彼らの主張に注目することで、日本のあいまい性も見えてくる。宗教の基盤そのものを突き崩そうとする動きに、日本の宗教も国際的な連携で対応しなければならない。

クョスコニョ    [1] 
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