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  11月5日号社説
 

引きこもり100万人

 不登校や引きこもりをサポートする寺院のネットワーク「てらネットEN」が十月十九日に発足した。現在、不登校児童・生徒は全国でおよそ十三万人を数え、さらに引きこもりに悩む若者は百万人を超えるといわれている。同ネットは、「人や自然とのふれあいなど社会との接点が希薄になってしまう若者たちにとって、非日常空間である寺院の持つ豊かな資源が、彼らの自立へ向けての一助となるのではないか」という考えから設立された。寺院の社会活動として注目される。
 呼び掛け人の一人、報四恩精舎(香川県高松市)の野田大燈師(曹洞宗大本山總持寺後堂)は、三十年前から喝破道場を開き、不登校児などを預かっている。最近、山の上にある寺のハーブ園にハーブティーの喫茶店がオープンした。子供たちに接客業を通して社会に復帰する訓練を行うのが目的だという。
 さらに大燈師は、老夫婦が一緒に入居できるグループホームの設立に取り組んでいる。自然の中で、お年寄りと子供たちが触れ合うことで、双方にプラスの効果が期待できるからだ。子供たちはお年寄りから生きる知恵やすべを学び、お年寄りは子供たちから生きるエネルギーと喜びをもらう。考えてみると、それは伝統的な共同体には自然にあったもの。それを今の社会は意図的に作り出さなければならない。その拠点として寺院は最適だろう。
 
早期の対応が大切
 最近、三十代の引きこもりの男性が高齢の両親を殺害するという痛ましい事件があった。将来を悲観しての行為だが、それだけの力があるなら、それをなぜ引きこもりからの脱出のほうに向けなかったのかと悔やまれる。通常、引きこもって数十年という人には、そんなエネルギーはない。
 これ以上、引きこもりを増やさないためには、不登校などの少年期の発症時に、適切な対応を施すことがポイントになる。基本は、子供だけでなく家族、とりわけ夫婦の問題として受け止め、親が子供の心に寄り添うことだ。
 そして、自分たちだけで解決しようとせず、信頼できるカウンセラーや教師に相談する。相談相手に恵まれない場合は、自分が悪いと思わず、納得できる対応をしてくれる人を探す。簡単な見分け方は、悪いカウンセラーほど親の気持ちが落ち込むようなことを言い、良いカウンセラーはまず親を元気にさせてくれる。そして、早ければ早いほど、子供はエネルギーを持っているので、立ち直ることができる。
 
強制改宗も原因に
 ところで、宗教に絡んだ引きこもりで見過ごせない記事があった。月刊「現代」十一月号の「書かれざる『宗教監禁』の恐怖と悲劇」だ。
 三十一歳の時、家族と牧師らによって拉致され、強制改宗させられた統一教会の女性信者が、その後遺症のため四十歳の今も引きこもり状態にあるという。精神的に大きなショックを受けると、大人でも引きこもりになってしまうことがある。
 児童虐待の疑いのある親に対する児童相談所や警察の介入で問題になるのは、親権や家族の問題に対する対応の仕方だ。上記の女性も、家族に拉致される現場に警察官が居合わせていながら、「これは家族の問題だ」との言葉に介入するのを控えたという。
 これが欧米であれば、警察官は文句なく介入する。幼児虐待やその痕跡を目撃した市民には、それを警察に通告する義務さえある。その意味では、日本はまだ人権意識が低すぎると言えよう。

クョスコニョ    [1] 
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