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11月20日号[天地] |
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奈良市の東、菩提山にある正暦寺(しょうりゃくじ)はこの季節、庭の借景になっている山が一面の紅葉で染まる。普段は最寄りのバス停「柳茶屋」から歩いて三十分の不便な所だが、紅葉時季の金土日曜日には近鉄・JR奈良駅より臨時バスが出ている▼正暦三年(九九二)一条天皇の勅願により創建、堂塔伽藍八十六坊が偉容を誇っていたが、平重衡の焼き討ちにあい、一時は廃墟となった。その後、建保六年(一二一八)信円僧正が法相宗の学問所として再興、以後、浄土宗の念仏道場として法灯を受け継いできた。本尊の薬師如来(白鳳時代)は台座に足を開いて腰掛けている。紅葉の美しさから、古人は「錦の里」と呼んでいた。戦後の農地解放で手放した寺の山を、その後、先代住職が無理な借金をして買い戻したという。見事な紅葉の背景にはそんな苦労話もある▼正暦寺の境内には菩提仙川が流れ、その清冽な水を使って、室町時代に「濁り酒が清酒に改良された」と伝えられている。つまり「清酒発祥の地」だ。厳しい時代、酒造りが寺の経済を支えてきたという▼近年、その鍵は正暦寺境内の乳酸菌にあることが分かった。そこで、 奈良県下十四の酒蔵でつくる清酒研究会が主体となり、地元産コシヒカリに正暦寺の乳酸菌を仕込み、蒸し米や酵母を入れ、地酒の酒母作りに成功。その酒母を元に各酒蔵で個性的な風味の地酒を醸造・発売し、話題を集めている。これも由緒ある寺を維持して来たが故の恵みであろう。大原弘信(こうしん)住職の話を聞きながら、庭の景色以上に感動していた。
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