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平成17年4月5日号[天地] |
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愛・地球博の呼び物の一つは人間のように動くロボットだ。一九八五年のつくば科学博で登場した二足歩行のロボットは、歩くたびにガシャーン、ガシャーンと音がするようなごつい機械だった。ピアノ演奏をするロボットもいたが、鍵盤を弾く指の動きがぎこちなかった。それが、トヨタグループ館ではトランペットやホルン、ドラムなどを滑らかに演奏していた▼案内ロボットは、目や口元など顔の動きが自然で、見ていて違和感がない。これには「不気味の谷」を超えるブレーク・スルーがあったという。ロボットを人間の動きに近づけると、ある段階でとても不気味に感じられる状態になり、なかなかそこから抜け出せない。つまり、人間に似ているのに、人間のような動きをしないから不気味なのだ。もっとも、そんなのは人間にもいそうだが。開発者たちは、さらに細かく顔の筋肉の動きを調べ、顔形も実際のモデルから取り、ようやく「不気味の谷」から脱出した▼こうした人型ロボットは日本が一番進んでいる。その大きな理由の一つは、宗教的制約がないからだという。キリスト教社会では、「神の創造を侵害する」として反対されるし、技術者にも心理的な抵抗がある。日本には江戸時代からからくり人形の伝統があったし、名古屋は特にそうした工芸の盛んな町だ▼「ロボットがなぜ自然の叡智なの」と言う人には、「ロボットを作ることで自然理解が格段に深まる」と答えよう。体の構造や、それを動かす脳の仕組みが明らかになる。しかし、ロボットが心を持つことはない。あくまで、心があるかのように振舞うだけ。もっとも、「心の無い人より、有るかのようなロボットの方がいい」と言う人が出てくる可能性はある。身近な人にそう言われないよう気をつけよう。
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