第64回東京お盆まつ 地獄で共に苦しむ閻魔様 しっかり生きて死の備えを 日本仏教鑽仰会
真言宗智山派大本山川崎大師平間寺の一山僧侶による法要 =7月4日、東京・千代田区のイイノホール
日本仏教鑽仰会(中山静磨理事長)が主催する第六十四回東京お盆まつりが七月四日、東京・千代田区のイイノホールで開催され、川崎大師の檀信徒を含む約五百人が集った。この祭りは昭和十六年から毎年開かれ、「怨親平等(おんしんびょうどう)」の仏教精神に基づいて仏教各派が毎年持ち回りで法要を勤めている。今年は真言宗智山派大本山川崎大師平間寺の一山僧侶が第一部の法要を執り行い、貫首の高橋隆天大僧正が導師を勤めた。
第一部の式典では、日本仏教鑽仰会理事の片岡英信氏が開会を告げたのち、献灯、献花、そして赤羽法善寺保育園園児二十数人によってお盆の歌がささげられた。三帰依文を東京大谷声明学園の藤城尚師が園児らと共に唱和した。 続いて、日本仏教鑽仰会理事長の中山静麿氏が、「今年は真言宗を開かれたお大師様(空海)の宗派の川崎大師の僧侶お方々に法要を執り行っていただきます」とあいさつ。後援団体の全日本仏教会と東京都仏教連合会の代表のあいさつの後、真言宗智山派大本山川崎大師平間寺貫首の高橋隆天大僧正が導師を務め一山僧侶が法要を執り行った。 第二部では、国学院講師・日本モンゴル研究所教授の金岡秀郎氏が「地蔵菩薩と閻魔王」と題して法話。同氏は「地獄や死とは何だろうか」と語り始め、「ナルシシズムの根源的なところは、何となく自分は死なないと思うことのようだが、人は必ず死ぬ」と強調し、次のように述べた。 「ユングは、宗教の一番大切な役割は死の準備教育で、生きるのがいやという人は死に際にうろたえがち、しっかり生きていた人は死ぬときも悠々としている、と言っている。現代人はいつ事故に遭うか分からないから、死は確実なものだと認識したら死の準備が必要だ。 仏教では人間が地獄に行き、もがき苦しむのは業のためであるという。閻魔様は地獄の裁判官とされるが、実は一緒に苦しんでくれる方。地獄の長い一日が終わると、閻魔様は溶けた業を飲む。すると全身が焼けただれてしまう。翌朝、一陣の風が吹くと、元の姿に戻り、再び地獄の亡者たちが悪業に気づいて懺悔するよう見守る。一緒に喜ぶ心を慈といい、一緒に悲しむ心を悲という。閻魔様はまさに慈悲のお方なのだ。・・・
平安時代の七夕飾り「乞巧奠」 古代を偲ぶ「雅楽の夕べ」も 大宮八幡宮
ササユリを手に巫女が踊る「ゆりまつり」=6月17日、奈良市の率川神社
東京・杉並区の大宮八幡宮(鎌田紀彦宮司)では今月一日から十七日まで、平安時代の七夕飾り「乞巧奠(きっこうでん)」が再現された。 七夕は、織姫(織女)と彦星(牽牛)が年に一度、天の川で会えるという話で知られているが、これは中国伝来の「たなばた」。日本では全く違う意味で行われていた。 日本の「たなばた」は棚機(たなばた)に由来する。棚機とは機織りのこと。盆に先祖を迎える前に、布を織る棚機津女(たなばたつめ)がこもって神を迎え、神を送る日には人々のけがれを持ち去ってもらうという祓(はら)えの行事である。 中国の乞巧奠は「巧みになることを乞う」との意味で、技の上達を祈ること。男子は、文字や詩歌の上達を願い、色紙や硯・筆などを供える。女子は裁縫や芸事の上達を願い、針に赤い糸を通して笹飾りにする。平安時代、宮中に広まった乞功奠に棚機が重なって七夕となり、江戸時代には庶民の間でも行われるようになった。 同宮では、七夕のルーツを知ってもらおうと、「天皇陛下御即位十年」を奉祝して平成十一年から、乞巧奠を再現している。清涼殿内に飾られた乞巧奠は、注連縄に五色の紙垂(しで)と梶の葉が付けられ、技芸の上達を祈り、雅楽器・筆硯・短冊・五色の布や糸などを供え、平安の雅びを再現している。また神門には大きな笹飾りも作られ、参拝者が短冊に願い事を書き込んでいた。 また、二日、九日の日曜日の夕方、「雅楽の夕べ」と称して、清涼殿ロビーにおいて職員による雅楽の演奏会が行われた。乞巧奠にちなみ職員の雅楽や神楽舞の技術向上を祈り奉奏するもの。参拝した人たちは、七夕のルーツに想いを馳せながら、おごそかな平安の雅びを堪能していた。 大宮八幡宮は康平六年(一〇六三)、奥州に乱を鎮めた源頼義が、京都の石清水八幡宮より分霊を受け、創建した。主祭神は応神天皇。後冷泉天皇から乱鎮圧の勅命を受けた鎮守府将軍・源頼義の軍が大宮の地にさしかかると、大空には白雲が八条にたなびき、あたかも源氏の白旗がひるがえるような光景となった。・・・
<2面>
- ロシア正教会が世界宗教指導者会議
文明間対話と家庭の尊重アピール モスクワ
- アジア太平洋島嶼国家サミット
平和に向け島嶼国の連携を 台 湾
<3〜5面>
- 本紙講演会
鈴木大拙の原風景――世界のD.T.スズキになるまで 花園大学前学長・禅文化研究所長西村惠信 母の信仰と尼僧の影響受ける 実家没落の悲劇で人格に深み
<6面>
<7面>
- 国際中国学研究センター国際シンポ
世界史の視点から竹内好を再考 愛知大学
- チベットの伝統舞台芸術を披露
遊牧生活に花開いた仏教信仰
<8面>
- 人・大観寺住職 奥土居帥心師
人間が変われば世界は平和になる
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