一神教学際研究センター・シンポ ヨーロッパの自己理解と一神教 EUとイスラームの共存探る 同志社大学
同志社大で開かれたヨーロッパと一神教についてのシンポジウム=11月4日
英国などで相次いだテロやフランスでの暴動、「ムハンマドの風刺画」事件、そしてローマ教皇ベネディクト十六世によるイスラーム発言が浮き彫りにしたように、EU(欧州連合)統合を進める欧州にとって、「自らをどのように理解し、規定するのか」は緊急の課題。そんな歴史的・政治的・社会的・宗教的・思想的背景をもった欧州の課題を、キリスト教・イスラーム・ユダヤ教という三つの一神教の立場から探る公開シンポジウム「『ヨーロッパ』という自己理解と一神教」が今月四日、京都市上京区の同志社大で開かれた。同大一神教学際研究センターの主催。
まず森孝一・同研究センター長があいさつ。「EUを構成する個人あるいは国家が自己規定する際、EUという地域共同体により比重を置くのか、国民国家のほうを重んじるのかが問われる」とし、「欧州諸国におけるムスリム(イスラーム信者)移民とムスリム系市民の増加という現状を踏まえ、EUの基本理念はイスラームの宗教伝統と共存できるのか、西欧のグローバリズムとイスラームはどのように関係し、どのように共存できるのか、などの諸点について意見交換したい」と提起した。 これを受けて、イスラーム、キリスト教、ユダヤ教のそれぞれの立場から四人のパネリストが順に発言。現在、オックスフォード大教授であり、欧州のシンクタンク「ヨーロッパ・ムスリム・ネットワーク」理事長でもあるターリク・ラマダーン氏は、欧州の状況を報告した上で「欧州は自己の内部でもっと対話し、現実への認識を深めねばならない。ムスリムの増加が新たな事態を生んでいるからだ」と指摘した。 ローマ教皇発言については「ムスリムと暴力を関連づけたことで、それがイスラーム観の主流であるかのような印象を与え、欧州を再定義してしまった」と批判。「欧州はキリスト教と合理性が支配する地域だと言われてきたため、我々は苦しんでいる。イスラームの古い伝統には合理性がある。現在、ムスリムが欧州社会に明らかに存在している事実を受け入れ、一神教の伝統を共有すべきだ」と強調した。・・・
東京都神社庁設立60周年大会 神宮遷宮に向け募財本格化 来年2月26日に都本部設立
東京都神社庁設立60周年記念関係者大会で式辞を述べる平岩昌利東京都神社庁長
=10月26日、東京・渋谷区の明治神宮会館
東京都神社庁(庁長、平岩昌利代々木八幡宮宮司)設立六十周年記念関係者大会が十月二十六日、東京・渋谷区の明治神宮会館を会場に二千人を超える宮司、総代、責任役員らが参加して開催された。平岩庁長は式辞の中で「伊勢神宮式年遷宮奉賛会東京都本部が来年二月二十六日設立される」ことを明らかにした。以後、募財活動が本格的に開始される。 「遷宮で結ぶ人の輪 心の輪 第六十二回神宮式年遷宮」「秋篠宮悠仁親王殿下ご誕生 お健やかなご成長をお祈り申し上げます」――二つの垂れ幕が掲げられた大会会場。陵王、納曽利(なそり)と二つの勇壮な舞楽を鑑賞し、平安の雅のひとときを過ごしてから記念式典が開式となる。 神宮遥拝、国歌斉唱、敬神崇祖の誓いを唱和してから平岩庁長が式辞。平岩庁長は香取茂世初代東京都神社庁長の名を出し「米国の猛爆で四分の一の三百三十六社が罹災した。連合軍の厳しい占領政策の中で当神社庁が設立された。社復興のため廃材の調達斡旋を庁がしていたが、香取庁長は庁内の復興を第一に自分の社、自宅を後回しにした。これが六十周年を迎えた庁の初心ではないか。先人を思い起こしその心を心として日々の生活を改善していこう」と初心の大切さを強調した。 記念表彰(後掲)の後、来賓あいさつで久邇邦昭神社本庁統理は「設立六十年に当たり、神社本庁憲章が制定された意義を再確認し、襟を正し神社の公共性、日本のうるわしい伝統を守っていかねばならない」と話した(代読、田中恆清神社本庁副総長)。・・・
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