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  平成18年5月20日号社説
 

重要なのは教員の質

 政府が教育基本法改正案を国会に提出し、民主党がその対案を作成したことで、六十年間、一度も変えられなかった教育基本法が、改正に向け論議されようとしている。政府案が公明党の反対で落とした「宗教的情操の涵養」を、民主党案は明記した。政府案が残した「不当な支配の排除」は、民主党案では削られている。壊し屋の異名を持つ小沢一郎代表の自公分断策だろうか。いずれにせよ、論議の行方から目が離せない。
 
 家庭、地域の教育力も
 十年以上前から公立中学でいわゆる「デス・エデュケーション」を行ってきた知り合いの教員が最近、校長からやめるように言われたという。理由は、宗教教育ではないかと思われるから。その学校では、「アダムとイブ」という言葉も禁句で、その教員が「生まれ変わったら何になりたい?」と生徒に聞いたところ、「輪廻転生の考えで仏教だ」として教頭にやめさせられたという。
 もちろん、現行の基本法でも、そこまで宗教教育を禁止しているわけではない。特定の宗派を宣伝、もしくは否定するような宗派的教育を禁止しているのである。ところが、任期中に問題を起こさないことを是とする悪しき官僚主義により、右のように拡大解釈してしまっているのが多くの公立校の現状なのだ。
 文部科学省にしても「命の大切さ」を教えることを掲げながら、そのために重要な要素である「死」について、公立校で語ることには否定的だ。少なくともタブー視する傾向が強いという。
 こうした傾向は学校だけでなく一般社会に蔓延(まんえん)しているといえる。きれいな物事だけを並べ立て、汚いもの、忌まわしいものは見えないようにする。その結果、宗教や死は遠ざけられ、まともに立ち向かうものではないとされてきた。そんなきれい事でつくられたのが戦後の日本社会ではないか。
 教育の問題を議論すると、行き着くのは教員の質だ。「宗教的情操の涵養」が盛り込まれても、それを行える教員がいるのかということになる。逆に、それだけの内容のある教員であれば、現行法の下でも宗教的情操の涵養は不可能ではない。
 現職の教員たちからは、子供たちと接する時間の不足を訴える声が強い。報告書作成など、事務的なことに費やされる時間が増えたからである。
 学校のIT化は小学生にホームページの作成を教えるより、教員の事務の合理化にこそ向けられるべきだろう。何より生身の人間として、教員が生徒たちに向き合う時間を増やしてもらいたい。
 昭和二十二年に公布された基本法を作成したのは、天野貞祐はじめ森戸辰男、務台理作、南原繁らいわゆるオールドリベラリストと呼ばれた人たちである。彼らの念頭にあったのは、第一に極度な全体主義に利用されない個人の育成である。そのため、西欧近代主義的に個人と国家を対立的とらえ、個人の価値を高めようとした。これは日本国憲法にも見られる基本理念である。
 しかし、現実の日本人は、完全に孤立した個人を生きているわけではない。家族や地域に広がる、開かれた概念が日本の「私」である。日本人の自己には、その家族や同僚などが無意識のうちに含まれている。それを踏まえれば、基本法には家庭や地域の教育力も盛り込まれる必要がある。
 
 やる気になれば
 芥川賞作家の藤原智美さんが全国の先進的な教育現場を見て歩いた『「知を育てる」ということ』(プレジデント社)によると、小学校一年から徹底して国語辞書を引かせるなど、公立校においてもユニークな手法で学力のみならず、生徒の創造性や意欲の向上に成功している例はある。それも、やる気になればどこでもやれそうな方法が多い。
 ここでも重要なのは教員の質とそれを評価する保護者や地域の役割である。日本の文化に基づき現状に即した基本法改正に向かうよう、論議の行方を見守りたい。

クョスコニョ    [1] 
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