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  平成18年10月20日号社説
 

自然と日本人の霊性

 国立東京博物館で開かれている「仏像 一木にこめられた祈り」展は、日本人と自然とのかかわりを教えてくれる。縄文の時代から、日本人は自然に神が宿るとして、神聖な山や岩、木を神のより代として崇(あが)めてきた。六世紀になって仏教が渡来し、仏像がもたらされると、人々は神々の宿る神木で仏像を刻むようになる。そこにおいて既に神仏習合が始まっていたともいえよう。
 古代から自然とのかかわりの中で、日本人はその霊性を培ってきた。最近、人としての常識を疑うような事件が起こっているのは、私たちが自然から離れてしまったことに原因の一つがあるのではないだろうか。
 
神の霊が宿る木
 『日本霊異記』の上巻第五には、敏達(びだつ)天皇(在位五七二―五八五年)の時代にあったこととして、次のような話が載っている。
 和泉国の海中から楽器のような音が聞こえてきた。それは笛や琴のようでもあり、雷のようでもある。昼は鳴り、夜は輝いて、東の方に流れていった。大部屋栖古(おおとものやすのこ)が皇后(後の推古天皇)の詔を受けて行ってみると、雷に打たれたクスノキがあった。屋栖古は皇后の詔を受け、このクスノキから菩薩像三体を造らせた。豊浦堂に安置された仏像は、多くの人たちに信仰された。その後、物部守屋(もりや)の迫害に遭ったので、人々は仏像を稲の中に隠した。守屋が戦に敗れて亡くなると、隠していた像を取り出し、後世に伝えた。吉野の比蘇寺(ひそじ)に安置され、光を放つ阿弥陀如来像がこれであるという。
 ちなみに、欽明天皇の次の敏達天皇は廃仏派寄りで、崇仏派の蘇我馬子と対立する物部守屋を勢いづかせた。馬子が寺を建て、仏を祭ると疫病が発生したため、五八五年に物部守屋は天皇に仏教禁止令を出させ、仏殿と仏像を燃やす。敏達天皇は同年八月十五日に崩御し、用明天皇が即位した。崇仏派だった用明天皇が疫病で崩御すると、生前の「仏教を敬うように」という詔を受け、蘇我氏連合軍は物部守屋を攻める。当初、物部守屋が有利だったが、厩戸皇子(聖徳太子)らの活躍により形勢が逆転し、守屋は戦死。崇峻・推古天皇の代になり、仏教は皇室に定着する。
 前の物語に戻ると、古来、落雷した樹木は神の霊が宿る神木、霊木とされたという。落雷すると木の内部にウロができることがあり、ウロのある木から造られた仏像も多い。
 さらに興味深いのは、初期の一木彫りの仏像の多くが表情が厳しく、迫力のある彫りなのに比べ、十世紀になると、表情も彫りも穏やかになってくることだ。その背景には、浄土信仰が広まり、仏に優しさを求めるようになるという日本人の信仰の変化がある。当初、仏教は特別な霊力を持つ教えとして受容され、仏像にも悪霊を追い払う強さが求められていた。その護国仏教的な信仰から個人の救いへと変わることで、貴族から次第に民衆にも受け入れられるようになる。
 江戸時代になると、円空(えんくう)や木喰(もくじき)が全国各地を歩きながら、人々の求めに応じて、自由奔放な仏像を多く刻むようになる。木を割った肌や、ノミの跡を残す円空の鋭さに対して、木喰は滑らかで穏やかな像に仕上げるなど、二人の作風は対照的だが、両者とも人々に温かく迎えられていた。
 
自然性の回復を
 修験道のように、古来から日本の宗教者は個の内面を探求しながら、自然とともにあり、かつ民衆とともにあった。それは、一般の日本人においても同様で、西洋の自然を支配する思想に基づいて発達した近代的自我の個人主義とは違う。戦後の日本社会は、個人を基本単位に設計されているが、歴史的に形成されてきた日本人としての個人でなければ、うまく機能しないであろう。
 日本的な個人主義を充実させるには、暮らしのレベルにおいて自然との共生を図ることが一つの道ではないか。日本人にとって自然性の回復が霊性の回復につながるように思えるからだ。

クョスコニョ    [1] 
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