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  平成18年12月5日号社説
 

真実を見る広い目を

 十二月八日は昭和十六年、日本海軍の真珠湾攻撃によって日米が開戦した日である。最近、米国生活の長い国際政治学者に、「超大国アメリカは独立戦争で生まれたのではなく、日本の真珠湾攻撃で生まれた」と言われ、なるほどと思った。当時、ヨーロッパで始まっていた第二次世界大戦にルーズベルト大統領は参戦したかったが、国民は消極的。ところが、日本の不意討ちに激高した国民は参戦を支持したのである。先の学者によると、米国の歴史学者の間には「ルーズベルトはヨーロッパにおけるドイツとの戦争に加わるため、アジアの裏口から入った」との隠語があるという。日本は米国にはめられたとする見方も、日本の一部にはある。
 
視点で異なる真実
 真珠湾攻撃を日米双方の視点で描いたのが映画『トラ、トラ、トラ!』だ。日本の暗号電報が既に解読されていたこと、日本軍の攻撃の危険を知らせる国防総省からの電報が、なぜか遅れて配達されるなど、大統領の意図をうかがわせるようなシーンもある。それに比べて最近の『パール・ハーバー』は、米国に都合よく作られていた。
 クリント・イーストウッド監督の二部作『父親たちの星条旗』と『硫黄島からの手紙』は、太平洋戦争で最大の激戦とされた硫黄島の戦いを、日米双方の視点から描いたものだ。来日した同監督は、戦争のいろいろな局面を描きたかったと語っていた。
 前者では、硫黄島の摺鉢山に星条旗を掲げた三人の若い兵士が、米政府の依頼で国債購入のキャンペーンのため全国を巡る話を軸に、リアルな戦闘シーンが描かれている。当時、米国は財政難に陥り、戦争継続は不可能な状況だった。そこで財務省が目を付けたのが、新聞写真で国民の目を引き付けた硫黄島の英雄たち。
 彼らは、本当の英雄は戦死した戦友たちであり、しかも、自分たちが掲げたのは二つ目の星条旗だったことから、負い目を感じながら命令に従う。戦場で実際に起こっていることと、遠く離れた本土で起こっていることとのギャップは大きい。どちらも同じ戦争を戦っているのだが、その実相はかなり異なっている。
 後者は、硫黄島の防衛を任された栗林忠道中将が、サイパンやアッツ島のように「玉砕戦法」を採らず、島中にトンネルを張り巡らし、徹底したゲリラ戦で対抗した話。当初、米軍は五日で落とせるとしていたのを三十六日間も持ちこたえ、さらに日本兵を上回る死傷者数の被害を与えた。栗林は米軍に最も恐れられたが故に、最も尊敬される軍人となる。捕虜になった日本兵が「硫黄島で戦った」と告げると、米兵の態度が変わったという。映画タイトルが『〜手紙』なのは、栗林や兵士らが家族に宛てた手紙が多く残されているから。そこから、硫黄島の真実をうかがうことができる。
 『さよなら、サイレント・ネイビー』(集英社)を書いた伊東乾さんは、地下鉄サリン事件実行犯・豊田亨と東大物理学科で親友だった。裁判で豊田は罪を認め、後にオウム真理教を脱会する。東大助教授の伊東さんは豊田とは天地の差だが、二人が出会った一九八六年当時、その差は、宗教的な関心も含め「髪の毛ほどもなかった」と言う。そして今、親友の協力を得ながら、学生を対象に「再発防止カリキュラム」に取り組んでいる。
 
柔軟な仕組みが必要
 近代社会において、人々は会社や団体など何らかの大きな組織に属している。それは一部の指導層に中間管理職、そして実際の現場を担当している大多数の人で構成される。そこで必然的に起こるのは、同じ物事でも視点によって見え方が違ってくるということだ。乖離(かいり)が大きくなり過ぎると、組織は機能不全に陥る。
 組織も若い時代には人々が情報を共有し、同じ価値観を持って活動していた。ところが時がたつにつれ、組織は硬直化し、人々もそれぞれの事情を抱えるようになる。戦後六十一年を経て、日本という国全体がそうなってしまったとも言えよう。とりわけ、世俗の組織でありながら、人の心をも支配する宗教教団には、広く信徒たちの視点を取り込む柔軟な仕組みが必要ではないか。

クョスコニョ    [1] 
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