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  平成18年12月20日号社説
 

ザビエル生誕500年に思う

 日本に初めてキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルは一五〇六

年四月七日、バスクの一貴族の息子として生まれた。今年は、生誕五百周年を記念し、ミサをはじめ学術研究や講演会、文化芸術イベントなどの行事が日本のゆかりの地で開催された。西洋と東洋の狭間に立ちながら、わが国民をこよなく愛したザビエルを振り返りたい。

 

日本を愛した宣教師


 十二月二、三の二日間、創作オペラ『ザビエル』が都内で上演された。原作は加賀乙彦の小説『

ザビエルとその弟子』で、台本も手掛けている。原作の夢幻能の手法を取り入れ、死者と生者の語らいが興味を引く。
 中国宣教を夢見ながら目前の上川島で病に倒れ、今やその魂が肉体から離れ

ようとしているザビエルの元に、既にこの世のものではないアンジロウが亡霊となって現れる。ザビエルが鹿児島を去った後に一人残された寂しさ、厳しさを増す迫害の苦痛、再び故郷を捨てて旅の途上で命を落とした悔しさが、アンジロウの口から切々と語られる。時に西洋の文化や価値観を押し付けようとする宣教師の態度に批判を浴びせながら、ひとしきり語り尽くすとやっと怨みが解けてくる。かつての良心の呵責と罪の重荷から解放された喜びや、新しい教えを授けられたことへの感動が思い出され、感謝と賛美へ変わる。弟子の賛美に送られてザビエルの魂は彼の世に移っていくところでドラマは終わる。上演された三日はザビエルが四十六歳の生涯を閉じた日だけに、一層感慨深かった。
 この作品に刺激されて想像を膨らませてみよう。もし今、ザビエルが現れたら

、彼がたたえた「神が準備した尊い教えを受けるにふさわしい国民」の末裔である我々に何を語るだろうか。
 ザビエルに日本宣教を決意させたのは、日本人アンジロウとの出会いである。日本人は「知識に飢え、真理をすばやく読み取り」「理性の導きに従う」と思えた。すぐさま、日本の情報を集める一方、日本宣教の右腕とすべくアンジロウに教育を施す。内外の準備が整い、ようやく日本(鹿児島)に上陸した時の感動は想像以上だったという。群がる日本人の「神聖なことについ

てむさぼるように耳を澄まして聞く」姿に感心し、「日本人ほど盗みを嫌う者に会った覚えがない」とも言う。信仰心においても「キリスト教に帰依した以上いつまでたっても迷わずにその聖性を掲げる唯一の国民」と。それ故日本には「学徳兼備の優秀な会士」を派遣すべし、と本国に書き送った。
 ザビエルは当初から、最高の教育により最良の国民、国家が生まれることを願った。それ故、国民全体に影響を及ぼす方法を模索している。彼が思い描いた宣教ビジョンは後々まで受け継がれ、鹿児島上陸の三十年後に来日したヴァリニャーノによって具体的かつ積極的に推進された。

西洋と同等基準の学校を建設し、青少年の教育を柱の一つとした。
 

カトリック新聞十二月三日号

で溝部脩司教は、ザビエルの偉大さは「日本の伝統文化を評価し、日本人を知的にも信仰的にも育てるという基本路線を敷いたことにある」とした上で、現在その後継者らが「国の在り方そのものに影響を与える人材を生み出しただろうか」と問うている。

 

継承する宗教者は わずか二年三カ月の日本滞在であったが、大きなビジョンを抱いて宣教するザビエルを思い起こす時、一国を抱え苦しみながら祈る姿が浮かんでくる。そこには、この国と全国民の魂の安寧と幸福に責任を持とう

とする宗教者の気概があった。


 はるか西洋から命を懸けて渡来し、祈りと行動をもって無私の愛

を示した一宣教師は、それが恨みに終わることなく、継承され昇華されることを願っているに違いない。それは、彼以上に国を思い、より大いなる善の世界実現のために祈る宗教者の登場によって満たされるのではないだろうか。彼らの高貴な理想、祈りに基づく実践こそ、有徳にして理性的、利他的な人材輩出の原動力だろう。そうした行動に踏み出すことが、何よりもザビエルを記念するのにふさわしい。

クョスコニョ    [1] 
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