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平成18年10月5日号[天地] |
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九月下旬の週末、天地子の暮らす地域で、氏神様のお祭りがあった。田園地帯に島のように浮かぶなだらかな山のすそに、四十軒ほどの集落が広がり、小さな神社が山の上にある。朝七時半に各戸から人が集まり、社までの山道とお堂の内外を掃除する▼十時半に神主を迎え、お参り。この日、神主はいくつかの神社を回るので忙しい。三十人ほどがお祓(はら)いを受け、神妙にお参りする。田んぼの中にある八坂神社の末社で、牛頭天王(ごずてんのう)を祀っていることから、お天王(てんの)さんと呼ばれる。もとはインドの祇園精舎の守護神で、日本に来て神素盞嗚尊(すさのおのみこと)と習合した。瀬戸内海に面し、古くから開けた土地なので、渡来文化の影響が強いのだろう▼お参りがすむと、お供えしていたお神酒とお撰米を頂き、甘酒が振る舞われる。以前は当番の家が作っていたが、最近では市販の缶。酒かすで作った水っぽい味で、酸味のあるどろどろした昔の甘酒が懐かしい。かつて農家で一番つらい作業は夏の草取りだった。それを終えて一段落し、秋の収穫前に祭りできずなを深め合ったのだろう。ひとしきりおしゃべりすると山を下り、集会所で昼のお膳を囲む。今年、わが家は班長なので、婦人たちに交じり妻が味噌汁と酢の物を作っている▼日本人の他界観は、亡くなると死霊から祖霊になり、さらに祖神から氏神へと高まり、故郷の山の高みから子孫の暮らしを見守っているというもの。それは、農業が機械化され、万事が合理的になった現代においても、人々の心に生き続けている。田舎は人付き合いのわずらわしさもあるが、そんな風土は大事にしていきたい。
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