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平成18年10月20日号[天地] |
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九月に仙台に行った折、芭蕉が絶句した松島を見ようと足を延ばした。松島を見るならと、地元の友達に車で案内されたのが大高森(おおたかもり)。松島の対岸・宮戸島のほぼ中央にある小高い山で、山頂からは三六〇度の展望が楽しめる。荒々しい嵯峨渓と穏やかな松島湾が対照的で、観光船が白い糸を引いて走っていた。島々のそそり立つ崖は、岡倉天心がアトリエを構えた五浦海岸の風景に似て、海の青は、東山魁夷画伯が鑑真和上のため唐招提寺の襖に描いた青だと思った▼青龍山瑞巌寺は奥州随一の禅寺。天長五年(八二八)慈覚大師によって創建されたとされ、当初は天台宗だったが、後に臨済宗建長寺派になり、戦国末期に妙心寺派に変わる。そして、再建した伊達政宗の菩提寺となった。壮大な伽藍は慶長十四年(一六〇九)、政宗が桃山様式の粋を尽くして完成させたもの。寺院も権力者とのかかわりで栄枯盛衰する。修行僧が住んだという崖に掘られた岩窟が、中国の横穴住居を思わせ興味深かった▼仙台に戻り、政宗ら三代藩主が眠る霊廟・瑞鳳殿を訪ねた。参道の坂道の途中に廟所を守る瑞鳳寺があり、その脇から伊達六十二万石を表すという六十二段の石段が続く。深い杉木立の中に桃山様式の荘厳華麗な建物がたたずみ、極楽浄土を連想させる。二代忠宗の感仙殿と三代常宗善応殿は改装中だった▼時間が余ったので定禅寺通に行ってみる。中央分離帯がケヤキのトンネルになっていて、グレコの「夏の思い出」、クロチェッティの「水浴の女」などイタリア作家のブロンズ像三体が光のシャワーを浴びていた。美を愛する心は、今の仙台人にも受け継がれているようだ。
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