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平成18年12月20日号[天地] |
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那智勝浦から新宮をめぐる熊野古道を歩いた。JR紀勢本線那智駅の近くにある補陀洛(ふだらく)山寺は、補陀洛渡海の僧を出した寺として知られる。南の洋上にある浄土を目指し小舟を漕ぎ出す信仰で、九世紀から十八世紀にかけて同寺からは二十五回試みられた。井上靖の小説に『補陀洛渡海記』がある▼バスで大門坂へ。樹齢八百年の夫婦杉から始まる石段が熊野古道大門坂で、息を切らせながら登った。うっそうとした杉林の中を曲がった石段が続き、まさに古道という感じ。途中、森の切れ目から見えた那智の滝は息を呑む美しさ。昔の貴人らもこの風景に心打たれたのだろう。坂の前で買った一袋百円のミカンでのどを潤す▼那智山の中腹に鎮座する熊野那智大社は、熊野三山の一つで、熊野十二所権現を祀る。温暖の地ゆえ山は紅葉が盛りだが、社殿脇にはイノシシの絵が飾られ、新年の準備が整っていた。平日なのに参拝客が絶えない▼隣接して青岸渡寺(せいがんとじ)がある。明治の神仏分離以前は「那智の如意輪堂」と呼ばれ、熊野那智大社と一体の寺院として発展したという。この境内から、那智の滝が三重塔と並んで見晴らせる。参拝者に頼まれシャッターを切った▼坂道と石段を降ると、次第に滝の音が近づいてくる。やがて目の前に現れたのは、那智の滝を御神体とする飛瀧神社。滝の前に石の鳥居が立っている。日本人の信仰の原風景を見た感じで、しばし呆然とする▼バスで那智駅へ。列車がないので別のバスで新宮に行き、熊野速玉(はやたま)大社にお参り。熊野川河口近くに鎮座し、全国熊野神社の総社とのこと。JRで紀伊勝浦に戻り、勝浦温泉で疲れを癒やす。贅沢な旅だった。
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