第54回全日本仏教婦人連盟大会 和の精神で世界に平和を 女性・子供のために励もう
大会で挨拶する大谷貴代子全日本仏教婦人連盟会長
=10月29日、東京・千代田区のパレスホテル
十月二十九日、東京・千代田区のパレスホテルにおいて、第五十四回全日本仏教婦人連盟大会が同連盟(大谷貴代子会長)の主催で開かれた。大谷会長は挨拶で、最近の社会情勢に対する感想を述べながら、聖徳太子の教えを今に生かすことの大切さを強調した。第二部の記念講演では、作曲作詞家の遠藤実氏が「歌は心を支える」と題し、自らの生い立ちを涙と笑いを交えながら語った。参加したのは各宗派の来賓はじめ会員ら約百五十人。
第一部は式典で、開式の辞に続いて法要。同連盟名誉会長の鷹司誓玉大本山善光寺大本願法主を大導師に、全日本仏教尼僧法団有志の式衆が読経する中、参加者一同が献花した。次いで、鷹司名誉会長より、次のような御垂示があった。 「仏教婦人連盟は釈尊の慈悲と布施の心を継承し、地域社会や世界への発信を心掛け、NGOを通じてインドの里親運動、まけないぞうのタオル運動などに協力し、善意が着実に実を結びつつある。ミャンマーでは僧侶を含む民衆のデモが軍事政権によって抑圧され、日本のジャーナリストも射殺されたが、一日も早く解決し、東南アジアに平和が訪れることを一緒に祈りたい。一方、日本は六十年以上平和が続き、世界で最も長寿社会になった。百歳以上は三万人を超え、二〇四〇年には六十五歳以上の高齢者が人口の四分の一を占めるようになり、長い高齢期をいかに健康で過ごすかが切実な問題となっている。NHKの天気キャスターの倉嶋厚さんは八十歳で、十五年前に喉頭がんにかかり、次いで夫人をC型肝炎で亡くし、うつ病になって悩み続け、自殺しようとしたが、人生はいつも誰かの世話になっている、亡くなった人の見守りもあるはずだと気づき、話をし原稿を書くことで立ち直り、昨日を悔やまず、明日を恐れず、小春日和のような人生を送っているという。日々を大切に感謝の日暮らしをし、一即一切、一切即一をモットーに自身や家族のためだけでなく、世界の女性や子供たちのために精励ください」 続いて、六條照瑞道明寺山主に合わせ「信条」を唱和した後、大谷会長が次のように挨拶した。 「長い不況をようやく脱し、周りに明るさが戻ってきたような感がする。以前にも増して便利で豊かな社会を享受しているが、いたいけな子供が毎日のように事件に巻き込まれている。社会の変化に人の心まで蝕まれ、考え方、価値観までも変わってきたように思う。外資系ファンドをテーマにしたドラマがあったが、自社の利益のため非情なまでに相手を追い詰める買収が日本でも現実になり、自己を強く主張する陰で多くの人が泣き、苦しみ、死を選んでいる。世界では民族や国家、宗教間の争いが絶えず、テロも多発し、人々が苦しんでいる。様々な事情や主義主張があろうが、自我に執着した悲しく暗い世界に見える。力や大きさを強調する西洋文化に対して、日本の文化は繊細で精神性を尊ぶ。その精神性は古来より仏教によって培われたものだが、今は力の文化に押され、風前の灯となっている。聖徳太子は十七条憲法で、和をもって貴しとなし、篤く三宝を敬えとうたった。和によってこの世は平和になり、和は三宝を敬うことによってもたらされると、仏の慈悲を説いた。力によって調整する主義に対して、和を尊ぶことによって理はおのずから通じるという太子の諭しは、これからの私たちの歩むべき道の大きな道標となる。環境問題にも仏法の労わり、慈しむ心が求められている。大慈大悲は生きとし生けるものすべてに懸けられ、私たちは釈尊の教えを仰いでいる。婦人一人ひとりが教えを深く頂き、生かされている喜びに家族と共に手を合わせたい。ささやかな労わり、慈しみから、和やかな社会が始まる」・・・
第39回全国諏訪神社連合大会 原点に返る40回大会に
挨拶する平林成元全国諏訪神社連合会長 =10月25日、長野・茅野市民館
全国に六千七百余社を奉斎する諏訪神社。その連合組織の全国諏訪神社連合大会(会長、平林成元諏訪大社宮司)が十月二十五、二十六の両日、長野・茅野市民館で宮司、神職、総代ら五百六十四人が参加して開催された。本年で三十九回目を迎える。二日目は上社本宮において神徳敬仰奉賛祭を斎行し、その後諏訪湖周遊などを観光し親睦を深めた。 国歌斉唱、敬神生活の綱領を唱和したあと、平林会長が「NHK大河ドラマ『風林火山』が人気を博し、その影響で社頭が賑わいを見せている。次回式年造営御柱祭は平成二十二年に行われる。本年五月、下社で仮見立が斎行された。来年は上社で仮見立が斎行される。いよいよ次回に向けての歯車が回り始めた。御柱祭における神木となるもみの巨木が年々少なくなり木を育てることに気を注がねばならない時を迎えている。当連合体はこの活動を通じ諏訪信仰を広めてきた。この会の果たしてきた役割は大きい。だが参加者が年々減少していることが気になる。来年は四十回の節目の年。原点に立ち返って工夫を凝らし素晴らしい記念大会にしたい」と挨拶、四十回大会が盛況に終わるよう協力を呼び掛けた。 齋藤吉仁長野県神社庁長は世情を憂慮しながら「時流の波がいかになろうとも神社神道を基とする信仰は不変。神官の祭祀斎行の姿は心の原点で日本人の生き方の根本をなす。私たちは日本民族の祭り文化や心の文化が次代を担う子供たちの精神的支柱となるよう神社神道の信仰の啓蒙に努めていかねばならない」と述べた。 開催地の柳平千代一茅野市長は来賓挨拶のなかで、御柱祭の最高の見所「木落し」が安全に遂行されかつ多くの観光客に満喫してもらえるように改修工事を進めていることを明らかにした。 後藤茂之衆院議員(自民党)は国会会期中にもかかわらず会場に駆けつけ、大正十年に赴任したフランス大使・詩人のポール・クローデルの言葉「日本人は貧しいが慎ましく高貴だ。世界まで残って欲しい民族は日本人。なぜなら日本人がつくる社会は美しいから」を紹介。「心の規範性を取り戻すには古くから日本人が大切にしてきたものを見直すべきだ。それには神社神道の役割は大きい」と話した。・・・
<2面>
- グローバリゼーション批判
貧富の差拡大は新しい奴隷制 改革派指導者
- ラマダン時のモスク滞在に制限
政府方針にイスラム教徒反発 エジプト
<3面>
- 曹洞宗総合研究センター学術大会
昨年比17人減の64人発表
- 「近江富士三上山」展
“神の山”を見直す 滋賀県野洲市
<4面>
- 智積院で晋山式
阿部龍文化主が就任
- 京都・山科で一燈園秋の集い
岡本氏「ガンディ」を語る
<5面>
- 久保角太郎師64回忌法要
恩師の教えを永遠に 在家仏教こころの会
- 日韓の宗教学者が仏教討議
現代社会の生命と霊性 京都・佛教大
<6面>
- 人/浄土真宗本願寺派宝林寺前住職 水原夢江師
声明古曲の復元に情熱
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