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平成19年2月20日号[天地] |
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インド旅行のこぼれ話。ラジギールからベナレスへ、乗用車に一人で八時間のドライブの途中、立ち寄ったひなびた飯屋で、バス旅行の日本人一行に出会った。香川県の善通寺が創建千二百年を記念して募集した仏跡めぐりで、引率の真言宗善通寺派宗務総長はさぬき市志度にある常楽寺の住職。何と天地子と同じ市の人だった。「地元で会わずにインドで会うのは、これも仏縁ですかな」と笑った▼ベナレスのホテルで会った妙齢の婦人は、昨年、九十一歳で父を見送り、遺灰をガンジスに流すためにきたという。京都に住んでいるというので、学生時代の思い出を話していると、何とその人は恩師の娘だった。そう言えば、確かに恩師の面影が浮かんでいる。「これも父のお導きかしら」とほほ笑まれ、どこかで道を踏み外した不肖の弟子であることを恥じていた▼二月には稀な大雨でヒンドゥー大会の開会式が一日延び、帰国を二日ずらすことにした。変更を頼んだタイ航空の現地主任が同じホテルに住んでいたので、仲良しに。ベナレス空港でチェックインを済ませ出発を待っていると、かの主任が搭乗券をよこせと言う。やや不安な思いでいると、ビジネスクラスが空いているからと変えてくれたのだ。おかげでバンコクまでのフライトは快適そのもの。旅は道連れ世は情け、見知らぬ人にも声を掛けるものだと思った。
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