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平成19年3月20日号[天地] |
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旧正月の二日(二月十九日)、雑技団の曲芸などでにぎわう横浜中華街を歩いていると、歩道の一角に「日本国新聞発祥之地」という石碑が立っていた。新聞人の一人として見逃せない。碑文によると、この地は一八六四年にジョセフ彦が「海外新聞」を発刊した居館の跡。彼は米国の民主政治が新聞の力に負うところ大なることを知り、日本最初の新聞を創刊したという▼ジョセフ彦こと浜田彦蔵の生涯は吉村昭著『アメリカ彦蔵』(新潮文庫)に詳しい。彼は十三歳の時に乗った船が嵐で遭難、仲間十六人と漂流しているところを米国の商船に救われた。日本は鎖国のため米国船の来航を許さず、彼らはそのままサンフランシスコへ。その後、中国のマカオに送られてペリーの船で帰国を図ろうとしたが断念。彼は米国で生きる決意をする▼サンフランシスコで働きだした彼を引き取ったのが税関長。働き者で頭のいい彦蔵をわが子のようにかわいがり、学校にも通わせる。そして彦蔵を伴って汽車でワシントンに行き、大統領に謁見させた。熱心なカトリック信徒の夫人は、彦蔵に洗礼を勧め、彼はジョセフという洗礼名を受ける▼日本が開国したことで帰国の道が開けるが、まだキリシタン禁令があったため彦蔵は米国籍を取得、米国人として日本の土を踏む。時代に翻弄されながら、知恵と努力で生き抜いた彦蔵の生涯が面白い。また同書は、海外で生きていた多くの漂流日本人のことを、丹念に描いている。
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