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  平成20年3月20日号社説
 

島四国八十八カ所

 花が梅から桜に変わるころから、四国には多くのお遍路さんが訪れだす。その数、年間約十五万人。故人の冥福や家族の健康から定年後の自分探しまで、いろいろな思いを抱えて霊場へと足を運ぶ。四国八十八カ所を歩き遍路で巡ると約三カ月かかるが、一週間で巡れるのが小豆島にある八十八カ所。島四国八十八カ所とも呼ばれ、遍路道も整備され、遍路宿もあって、観光がてら巡る人が増えている。
 
弘法大師が修行
 真言宗を開いた空海弘法大師は、生誕地の讃岐国多度郡屏風浦(現在の香川県善通寺市)と京の都を往復する際、小豆島にしばしば立ち寄り、各所で修行や祈念を行っていた。貞享三年(一六八六)、小豆島の僧侶たちが、この空海の修行、祈念の場を整備したのが小豆島八十八カ所霊場となったという。
 古代、小豆島は吉備国児島郡に属していた。吉備国は弥生時代から古墳時代にかけて、筑紫や出雲、大和、毛野(けの)などと並ぶ強力な政権で、大和と連合して日本列島の統一を果たした。ところが、吉備の興隆を脅威と感じた大和によって勢力を削減され、地方勢力に封じ込められたといわれる。王朝時代から小豆島は皇室の御領地などにもなった。
 戦国時代に小豆島は豊臣秀吉に占領され、部下の小西行長の所領となった。キリシタン大名だった小西行長は、風光明媚なこの島に神の国建設を夢見て大坂から司祭を招き、一カ月で全島民の四分の一に当たる千四百人もが洗礼を受けたという。しかし、その後、キリシタン禁制に政策転換した秀吉により、行長は肥後(熊本)の宇土に転封される。小豆島に残されたキリシタンの多くは信仰を失っていくが、一部は隠れキリシタンとなり、その足跡を今に残している。
 江戸時代の小豆島は津山藩領となり、海上交通上の重要性から徳川幕府の直轄領(倉敷代官所管轄)として発展した。伝統産業である醤油造りも海運を利用して、江戸初期から盛んになる。明治維新後は、北条県、倉敷県、岡山県などを経て香川県に属するようになった。
 小さな島ながら、小豆島にはかなり険しい山もある。七十二番霊場の奥の院笠ケ滝寺へは、鎖を伝って細い崖道を登らなければならない。その苦しい道中はまさに現世であり、苦労して登りきることで、そこから脱出することができる。四国八十八カ所と同様、遍路の道はまさに人生の縮図ともいえよう。
 霊場の全行程は約百五十キロで、八十八の本番霊場に奥之院六カ所を加えて合計九十四カ所が公認の霊場。うち寺院霊場が三十、山岳霊場が十余り、堂坊が五十余り。
 巡礼の目を楽しませてくれるのは小豆島の美しい海と山の風景。そびえる岩が新緑に包まれ、自然の厳しさと優しさを映し出している。宝生院には世界最古のシンパク(真柏)が、誓願時には大ソテツなど国指定の重要文化財や天然記念物も多い。また巡礼者のために各霊場に種類の違う桜が植えられ、八十八種の桜が花を咲かせて待っている。渇いたのどは、一袋百円のミカンで潤そう。
 八十番の子安観音として信仰されている観音寺では、檀家の人がうどんのお接待をしている。昭和の初め、何度も火災に遭いながら、お遍路さんの寄付などで再建されてきたお礼にと続けられている。
 
オリーブ百年祭
 オリーブの初植栽から百年目の今年四月から来年三月まで、小豆島ではオリーブ百年祭が、小豆島町のオリーブ公園を中心会場に催される。オリーブとしては五月の開花や十月からの実の収穫時期が見ごろだが、醤油の資料館や二十四の瞳映画村、銚子渓お猿の国、寒霞渓なども近くにある。
 それらとともに古い霊場を巡り、島の人々の素朴な信仰に触れてみよう。それは、海に囲まれた山の国、日本の縮図のような風景かもしれないし、「ようお参りなさんした」という優しい笑顔のお接待かもしれない。

クョスコニョ    [1] 
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