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  平成20年6月5日号社説
 

人を育てる縁づくりを

 五月二十八日から三十日にかけての第四回アフリカ開発会議(TICAD)に合わせて、同じ横浜で開かれていた「アフリカン・フェア2008」(経済産業省とジェトロの共催)を見学した。アフリカ各国がブースを設けて特産物や文化の展示をし、日本のODA(政府開発援助)による事業や企業の活動が紹介されていた中で、巨大な地雷除去機に目が留まった。今、世界に埋まっている対人地雷は一億一千万個、手作業で除去していたのでは千年以上かかるという。そこで、日本では日立建機とコマツの二社が地雷除去機を開発し、今では世界六カ国で五十八台が活動している。

恐怖感をなくしたい
 会場に、地雷除去機を開発した日立建機(山梨県南アルプス市)の雨宮清社長がいた。雨宮さんは一九九五年にカンボジアで地雷で足を失った人を見たのがきっかけで、地雷除去機の開発プロジェクトチームを立ち上げた。地雷の恐怖におびえる人たちを目の当たりにして、彼らからその恐怖心を取るために今の自分に何ができるかを考え、機械技師としての経験から地雷除去機にたどり着いたという。
 地雷の勉強から始めた雨宮さんは、地上の草や低木を刈り取りながら土の中に埋まっている地雷を除去するため、ショベルの先端に高速で回転するカッターを取り付け、実験を重ねた。しかし、爆発時の千度の高温に耐えられるカッターが開発できない。コストもかさみ、苦境に立たされた雨宮さんを支えたのは、社員やスタッフ、現地の人たちの声だった。そして、日立グループも全面的にサポートするようになり、ついに衝撃に耐える特殊なカッターの開発に成功し、九八年に一号機が完成した。さらに、チェーンに重りを付けた分銅を回転させるタイプも開発し、これにより一・五から二メートルの深さまで掘ることができるようになった。活動する地雷原の地形や状況に応じて使い分けているという。
 展示されていた日立建機の地雷除去機は製造費が約一億円、ODA(政府開発援助)で対象国に供与されている。機械の後ろには土を掘り起こす爪が付けられていた。前部のカッターで地雷を除去しながら、後部の爪で土を耕し、農地を回復させる。
 カンボジアやベトナム、アフガニスタンなどで実績を積み、アフリカではアンゴラで活動が始まっている。同国は二〇〇二年まで三十年近くの内戦が続き、その間、無数の地雷が国土にばら撒かれ、世界で最も地雷に汚染された国だ。国土の35%、日本の面積より広い四十四万平方キロが地雷に汚染されている。高圧線を守るために埋められた地雷が、今はインフラ整備の障害になっているという。
 雨宮さんはアンゴラから選抜された地雷除去機の研修生に運転や整備を教えている。山梨県の本社に彼らを迎え、また同国のトレーニングセンターに技師を派遣して、操縦を指導する。身内に被害者がいるなど身近に地雷の恐ろしさを体験している彼らは真剣で、ゼロからの大型重機操縦に取り組んでいる。雨宮さんは「技術と精神力を鍛える」と言う。やがて、彼ら自身で操作や整備ができるようにならないといけないからだ。同国を支える人づくりでもあった。
 忙しい指導の合間に、雨宮さんは現地の小学校を訪問し、日本の小学生が描いた絵をプレゼントし、お返しに子供たちが描いた絵を日本に持ち帰っている。日本でも各地の学校などで講演しており、「子供たちの未来を取り戻すための、国境を超えた地雷との戦いだ」と言う。
 
深くかかわる
 地雷を除去して終わりではなく、その土地を再生させて農地や学校などに戻し、現地の人たちが自立できるまで続けるのが本当の支援だろう。その過程で育った人たちが、やがて国を支える力となる。
 部族間紛争の絶えないアフリカの国を見ると、政治の貧困を感じてしまうのだが、その最大の要因は旧宗主国が人を育てなかったからではないか。人を育てるには深くかかわらないといけない。縁づくりの思想があってこそできることである。

クョスコニョ    [1] 
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