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  平成20年4月20日号社説
 

天皇、皇后両陛下ご成婚50年

 天皇、皇后両陛下は十日、ご成婚から五十年の金婚式を迎えられた。心からお祝い申し上げたい。この間、両陛下は、日本社会や国民の生き方が大きく変わる中で、新しい時代における皇室のあり方を目指され、「国民と共にある皇室」を実現してこられた。そして何より、愛情で結ばれた夫婦の尊さを示してこられたように思う。

古くて新しい
 不思議なことに、皇室は日本の古い伝統を守りながら、常に海外からの新しい文化を率先して取り入れてきた。古代における仏教の受容がそうであり、明治においては皇室の洋風化が進められた。それも、古来の神道や皇室祭祀、伝統文化との調和を図りながらである。日本の座標軸とも言える皇室がそうであるから、国民も柔軟に海外の優れた文化を取り入れ、生活を向上させることができた。
 明治以来の近代日本における大きな変化は、とりわけ家族のあり方において起こった。昭和天皇は強いご意志で女官制度を廃止され、天皇陛下は初めて民間から后を迎えられた。そして両陛下は、旧来の慣習だった乳人制を廃止して、三人のお子様を手元で養育された。国民と共にある「象徴天皇のあり方」を求め続けてこられたからであろう。
 初めて民間から皇太子妃になられた皇后陛下が、極めて難しい決断を迫られたことは想像に難くない。「その任に堪えられない」との思いが強く、ご家族も「平にご勘弁願います」の一点張りだったという。しかし、最後の決め手になったのは、皇太子の誠実なお人柄と愛情だった。
 幼い頃に両親から離れ、家庭生活を知らずに育った天皇陛下は、皇太子の務めを果たしていく上で、その務めを理解し、支えてくれる人がどうしても必要だと皇后陛下を説得されたという。そして九日の記者会見では、「結婚によって開かれた窓から私は多くのものを吸収し、自分をつくっていった」と述べられた。
 ご成婚後、皇后陛下が中東のある国の大使から贈られたというレバノン生まれの詩人、ハリール・ジブラーンの詩集の中から「結婚について」を、柳田邦男氏が「文藝春秋」五月号で紹介している。
 「あなたがたは共に生まれ、永久に共にある。/死の白い翼が二人の日々を散らすときも/その時もなお共にある。/そう、神の沈黙の記憶の中で共にあるのだ。/でも共にありながら、互いに隙間をおき、/二人の間に天の風を踊らせておきなさい。
 愛し合いなさい、/しかし愛をもって縛る絆とせず、/ふたりの魂の岸辺の間に/ゆれ動く海としなさい。/杯を満たし合いなさい、/しかし一つの杯から飲まないように。/ともに歌い踊りよろこびなさい。/しかしそれぞれひとりであるように。/リュートの弦が同じ音楽でふるえても/それぞれ別のものであるにも似て。/自分の心を(相手に)与えなさい。/しかし互いにそれを自分のものにしてはいけない。なぜなら心をつつみこめるのは生命の手だけだから。……」(神谷恵美子『ハリール・ジブラーンの詩』角川文庫)
 この詩のように、両陛下は常に共にありながら、かつそれぞれの役割を見いだし、果たしておられる。そこに夫婦の鑑を見るようで、互いに自立しながら支え合う、そんな夫婦になりたいものだと思う。
 
心の窓を開いて
 九十一歳になる生活評論家の吉沢久子さんが、七十五歳で亡くなった文芸評論家の古谷綱武氏について、「『女も働くべきだ』が夫の持論でしたが、お茶一ついれられない人でした」と語っている(読売新聞16日付)。思想と行動にギャップがあるのは、男たちの常。長寿社会を迎え、夫たちは妻から多くを学べるよう、心の窓を開く必要があるだろう。
 天皇、皇后両陛下におかれては、これからもご健康で、高齢夫婦の鑑であり続けていただきたい。これまで経験したことのない高齢社会に突入する日本だが、両陛下のあり方を希望とすることで、明るい社会を築けるように思う。

クョスコニョ    [1] 
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