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  平成20年5月20日号社説
 

今を大切に生きる

 法然上人八百年大御忌を平成二十三年に控え、NHK教育テレビの「こころの時代」で広島大学大学院教授の町田宗鳳さんによる「法然を語る」が四月十九日に始まった。月一回で一年間続けられる。法然は悲惨な時代に生まれた日本仏教の革命家、と高く評価する町田さん。世界的な不況で失業や貧困が広がり、多くの人が不安に押しつぶされそうな今の時代に法然がいたら、何を語るだろうか。そんな視点からの話が魅力的だ。
 
専修念仏による往生
 香川県高松市仏生山には法然寺という寺がある。当地に流された法然ゆかりの小松庄生福寺跡地に寛文八年(一六六八)、高松藩の初代藩主・松平頼重が建立したもの。本堂には法然作の阿弥陀仏や法然の真影が安置され、山頂には法然と讃岐高松松平家の墓所がある。徳川家康の孫で、水戸・徳川光圀の実兄、頼重は、法然を追慕する思いが厚かった。
 法然は長承二年(一一三三)美作国久米(岡山県久米郡久米南町)の押領使・漆間時国(うるま・ときくに)の子として生まれた。九歳の時、夜討によって父を失うが、「復讐すれば殺し、殺されの悪因縁が繰り返される。その根を断ち切れ」との父の遺言によって仇討ちを断念したのは有名な話だ。
 十五歳の時に比叡山の皇円のもとで得度し、比叡山黒谷の叡空に師事して「法然房源空」と名乗る。承安五年(一一七五)四十三歳の時、中国浄土教の大成者・善導の『観経疏』によって専修念仏に進むことを決意、比叡山を下りて、口称念仏を広めた。当時は平家が全盛期から滅亡に転じる時代で、平安末期からの末法思想の流行もあり、空也など念仏聖の出現で浄土思想が庶民の間に広まっていた。
 法然が説いたのは、浄土に行くには学問も修行も必要なく、ただ「南無阿弥陀仏」と唱えればよい、というもの。念仏を唱えると、人々を救うことを誓っている浄土の阿弥陀仏が必ず救ってくださる、それが弥陀の本願だと。死に様の悲惨さや『往生要集』の教えなどから、死ねば地獄に落ちると恐れていた人々は、法然のやさしさに飛び付いた。まさに革命的な教えだった。これに危機感を覚えたのが、天台宗の比叡山延暦寺や奈良仏教など既成仏教で、もっとも、専修念仏者の中にはかなり身勝手な行動をする僧もいたようだ。
 元久元年(一二〇四)比叡山の僧徒が専修念仏の停止を迫ったので、法然は門弟たちの自粛を訴える「七箇条制誡」を書いて延暦寺に送った。しかし興福寺の訴えにより朝廷から念仏停止の断が下され、建永二年(一二〇七)法然は土佐に流罪となる。
 直接の原因は、後鳥羽上皇が寵愛していた二人の女房、鈴虫、松虫が浄土宗に引かれ、熊野詣での留守中に出家したこと。法然は女人往生も説いている。立腹した上皇は、二人を導いた安楽と住蓮を死罪にし、師の法然と親鸞ら高弟を流罪に処した。法然は土佐、親鸞は越後(新潟)に流されることになる。
 法然に篤く帰依していた関白九条兼実が高齢を案じて工作した結果、法然は土佐ではなく兼実の領地、塩飽(しわく)島がある讃岐に送られることになった。法然上人にとって地方に流されることは少しも無念ではなく、「かねてより都ではかなり広まったので、地方の人たちに念仏を勧めたいと願っていたので、むしろありがたい」と喜ばれたという。まさしく四国にとっては恵みとなった。
 
無限の命につながる
 町田さんは、法然は絶えざる念仏によって無限の命(阿弥陀如来)と結ばれていて、その実感を持ち続けていた、と言う。それが包容力のある魅力的な人格となり、周りの人たちを同じ感覚にさせていったと。
 そんな法然が今の時代にいれば、「今やっていることに心を込めなさい」と言うのではないか、と町田さんは語る。釈迦の教えの核心は、どうにもならない過去やどうなるか分からない未来にとらわれず、今を大切に生きなさい、に尽きるように思う。スポーツでも芸術でも仕事でも、それが無限の命につながる道であり、そうすれば必ず希望が見えてくる。明るく、前向きに生きていれば、人も仕事も寄って来そうな気がしてきた。

クョスコニョ    [1] 
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