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  平成20年7月5日号社説
 

宗教と科学と人間と

 映画「天使と悪魔」は、キリスト教会に弾圧されたガリレオ以来の科学者たちの秘密結社・イルミナティが、新しい教皇を選出するコンクラーベが行われているバチカンのローマ教皇庁に反物質の爆薬を仕掛け、カトリック教会に復讐するという筋書き。スイスにある欧州原子核研究機構の研究所で科学者が殺され、容器に電磁場で閉じ込めた反物資が持ち出されるところから物語は始まる。そもそも反物質とは何だろう。
 
反物質とは?
 プラスの電荷を持つ反電子が発見されたように、すべての物質は対で存在しているとの仮定から、素粒子の電荷などが全く逆の性質を持つ反粒子によって組成される物質が想定され、二〇〇二年には欧州原子核研究機構で、五万個の反水素の生成に成功したという。小説はこうした科学的成果を背景に書かれている。もっとも、池内了教授によると反物質が存在できるのはせいぜい千分の一秒で、映画のように容器に入れて持ち運べるようなものではないという。
 興味深かったのは、亡くなった教皇が反物質の研究を支持し、資金援助さえ申し出ていたことだ。それは、ビッグバンの謎を解く鍵になる研究でもある。つまり、物質と反物質が衝突することでビッグバンを説明でき、神の一撃を証明することになるからだ。
 教皇の有力候補者四人が拉致され、一時間ごとに殺害されるという事件は、ローマの名所巡りのようで、前作の「ダ・ヴィンチ・コード」より面白い。事件の黒幕は、科学に親和的な教皇に反発した侍従であることが、終幕で明らかにされる。
 ところで、なぜこのように宗教と科学は対立的になってしまうのか。扱う対象が異なるからというのは後知恵で、両者の始まりを見ると明確に区別できるものではない。それを、デカルト的に無理に分けてしまうところに、大きな問題があるのではないか。
 湯川秀樹博士が老子や荘子の思想に深く傾倒していたことがよく知られているように、知の営みとして宗教と科学はむしろ親和的なものだ。仏教や神道が科学的でないと批判されたのは過去のことで、最近の宇宙論や物理学、深層心理学の発達から、その先進性が再評価されつつある。
 決定的に重要なのは、死生一如のように、物事を二分法で考えないことである。ハリウッドのエイリアン映画を見て分かるのは、悪は滅ぼすしかないと決め付けていることだ。それはそれで痛快なのだが、果たしてそんな悪が存在するだろうか。
 悪は滅ぼすのではなく、受け入れ、共存する道を探すのが東洋的発想だ。その曖昧さは、かつてアジア的停滞と批判されたが、西洋文明が行き詰まりを見せている今、むしろ叡智として再評価されよう。宗教と科学にも同じことが言えるのではないだろうか。
 もちろん、それが倫理的頽廃を招いてはいけないから、池内教授の言うように、何より科学者は謙遜であることが求められよう。宗教者とてそれは同じで、現世に生きている以上、科学の恩恵を受けているのだから。
 
 自省と自制を
 宗教が科学を取り込むことにも慎重でなければならない。科学をもって宗教的事項を正当化すると、その科学的根拠が覆された場合、目も当てられなくなってしまうからだ。そもそも科学は絶対的なものではない。
 本紙毎月5日号に渡辺久義京大名誉教授が連載している「宗教と科学の新しい展開」では、進化論が社会に及ぼした深刻な影響について、興味深い内容が展開されている。社会進化論のように、科学を根拠に人間として許されないようなことを行うのも、人間の傲慢さゆえではないか。
 「宗教なき科学は不具であり、科学なき宗教は盲目である」というアインシュタインの言葉は、宗教者、科学者の傲慢さを戒める意味合いもある。暴走してしまうのは、宗教や科学の問題なのではなく、それを担う人間の問題なのだから、とりわけ重要な立場にある人には常なる自省と自制が求められよう。

クョスコニョ    [1] 
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