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  平成20年8月5日・20日合併号社説
 

日本人の「甘え」と信仰

 名著『「甘え」の構造』で知られる精神科医の土居健郎(たけお)さんが七月五日、老衰のため八十九歳で亡くなった。同書は「甘え」をキーワードに日本人の精神構造を解明したもので、海外八カ国で翻訳され、世界の心理学界で「あまえ」は「あまえ子育て」のように、そのまま使われるようになっているという。
 愛媛県に生まれ、母親の影響で中学生でプロテスタントの洗礼を受け、二十三歳の頃、自らの意志でカトリックに変えた土居さんは、当初から信仰と「甘え」について関心があったようで、後に『信仰と「甘え」』を上梓している。

 
 甘えに甘える
 同書で、土居さんは次のように述べている。
 「ところで、これに反し日本人の場合は理性より『甘え』方が信仰との関係において問題になると思われる。というのは西洋人が理性において自足的であろうとするように、日本人は『甘え』において自足的であるからである。もっとも『甘え』の場合は、理性の場合と対比して、信仰との関係がかなり異ったものとなる。というのは理性は信仰と対立的な関係になりやすいのに比して、『甘え』は信仰と並行的で重なり合う関係にあるので、しばしば信仰を『甘え』と取り違えるということが起きるからである。その結果、自分では信仰しているつもりでも、はたから見れば甘えているということにたり、しかも当の本人は自分の甘えに気が付かないのであるから、まことに始末が悪いのである。」
 この前段には、何事も理性で済ませたいギリシャ以来の西洋人にとっては、信仰と理性の問題が早くから問題で、何世紀も西洋人を悩ませてきたことが書かれている。
 土居さんの言う「甘え」は、乳児が母親を求める行為に始まり、「自分の世話をしてくれる者と気持の上で一体になることを欲することであり、また一体感を楽しむこと」と定義されている。大人にも使われ、その対象は「特定の個人に留まらず、自分の帰属集団、更にもっと一般的な観念、例えば白分の奉ずる主義主張でもあり得る」と。
 こうした日本人の「甘え」は個人や社会の安定に役立つが、「安定のためにそれ以外のもの、例えばそのような連がりを続けることが妥当であるかどうかという吟味をないがしろにする恐れがある。その結果は、何かに甘えるというより、甘えることに甘えるというか、甘えていること自体が目立つようになる」とその弊害を指摘している。
 「和して同ぜず」という言葉があるが、和のつもりが同になってしまうと、それは馴れ合いで、本人たちは気が付かないが、外から見ると気持ちが悪い。新興宗教にありがちな教祖に対する個人崇拝などは、信仰ではなく多くは甘えである。ところが、信徒も教祖もそれを勘違いしていることが多い。
 もちろん、「甘え」が外国人にも理解されるように、こうした心性や振る舞いは人類共通のものだが、狭い島国に平和共存せざるを得ず、自然に恵まれた日本では、例外的に今も強く残っていると言えよう。「甘え」はラテン語ではピエタ像が思い浮かぶピエタスに相当するが、日本語の「甘え」のように、すべての行為に共通する心理表現としては使えないという。
 「甘え」は悪い意味で使われることが多いが、善し悪しの問題ではなく、日本人論の切り口なので、そう自覚した上で、ではどうするかを考えたい。
 
もう一人の自分を
 すると、先祖は実に素晴らしい解決策を提示してくれている。天岩戸で、岩の中に隠れた天照大神が出てこられるきっかけが、自らの顔を鏡で見たことだった。心理学的に言えば、私をもう一人の私が見ているのである。
 教育哲学者の久保田信之さんによると、戦前の日本教育を体現している台湾の李登輝元総統は、「私というのは、この私ではない。私ともう一人の私との対話が私を成長させる」と語っているという。生身の自分を見詰め、いとおしみながら、その成長を図るもう一人の自分をしっかりさせたい。

クョスコニョ    [1] 
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