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  平成20年10月5日号社説
 

恬F愛搦タ現への課題

 九月二十四日午後(日本時間二十五日未明)、国連総会一般討論で演説した鳩山由紀夫首相は、日本の国連加盟が承認された昭和三十一年当時の首相、祖父・鳩山一郎を「友愛思想の唱導者」と紹介し、「日本は友愛精神に基づいて、世界の架け橋となるべく全力を尽くす」と宣言した。鳩山首相は友愛を日本語のまま「yu-ai」と語り "fraternity"と英語で補足している。その意味は、兄弟の間柄(情愛)、友愛(組合)、同業(好)者仲間といったもの。温暖化ガスの一九九〇年比25%削減や核廃絶への積極姿勢なども、各国政府・国民、NGO(非政府組織)などからおおむね好意的に評価され、鳩山外交は順調に滑りだしたかに見える。

祖父・鳩山一郎
 鳩山首相は、日本の国連デビューとなった第十一回総会での、重光葵外相の次のような言葉を引用した。「日本の今日の政治、経済、文化の実質は、過去一世紀の欧米及びアジア両文明の融合の産物であって、日本はある意味において東西の架け橋となりうるのであります。このような地位にある日本は、その大きな責任を十分自覚しておるのであります」。その上で、「重光葵の演説にある『架け橋』という考え方が、一郎の友愛思想と共鳴していることは実に興味深いことです。友愛とは、自分の自由と自分の人格の尊厳を尊重すると同時に、他人の自由と他人の人格の尊厳をも尊重する考え方です」と語った。
 昭和二十一年にGHQによって公職追放され、長野県の軽井沢で「晴耕雨読」をしていた鳩山一郎は、オーストリアの政治家リヒャルト・クーデンホーフ・カレルギーの『自由と人生』を読んで感動し、二十七年に政界に復帰すると、同書の訳書を出し、「友愛革命」を唱えた。
 カレルギーはヨーロッパの平和と統合を目指す汎ヨーロッパ主義を唱え、「EUの父」と呼ばれた人で、オーストリア・ハンガリー帝国駐日特命全権大使ハインリヒ・クーデンホーフ=カレルギー伯爵を父に、東京牛込出身の日本人女性、青山光子を母に、東京で生まれている。
 彼は、「フランス革命は自由、平等、友愛の実現を目指したが、自由だけが実現したが、自由はともすれば利己主義を招き、経済的な不平等、つまり貧困の差を広げる」とし、相いれない自由と平等を調和させ人々が助け合うために、自分と同時に他者を大切にする必要を説いた。思想史的には、イギリスのロバート・オウエンらによる組合社会主義(サンディカリズム)の流れを汲むキリスト教社会恬F愛搦タ現への課題

 九月二十四日午後(日本時間二十五日未明)、国連総会一般討論で演説した鳩山由紀夫首相は、日本の国連加盟が承認された昭和三十一年当時の首相、祖父・鳩山一郎を「友愛思想の唱導者」と紹介し、「日本は友愛精神に基づいて、世界の架け橋となるべく全力を尽くす」と宣言した。鳩山首相は友愛を日本語のまま「yu-ai」と語り "fraternity"と英語で補足している。その意味は、兄弟の間柄(情愛)、友愛(組合)、同業(好)者仲間といったもの。温暖化ガスの一九九〇年比25%削減や核廃絶への積極姿勢なども、各国政府・国民、NGO(非政府組織)などからおおむね好意的に評価され、鳩山外交は順調に滑りだしたかに見える。

祖父・鳩山一郎
 鳩山首相は、日本の国連デビューとなった第十一回総会での、重光葵外相の次のような言葉を引用した。「日本の今日の政治、経済、文化の実質は、過去一世紀の欧米及びアジア両文明の融合の産物であって、日本はある意味において東西の架け橋となりうるのであります。このような地位にある日本は、その大きな責任を十分自覚しておるのであります」。その上で、「重光葵の演説にある『架け橋』という考え方が、一郎の友愛思想と共鳴していることは実に興味深いことです。友愛とは、自分の自由と自分の人格の尊厳を尊重すると同時に、他人の自由と他人の人格の尊厳をも尊重する考え方です」と語った。
 昭和二十一年にGHQによって公職追放され、長野県の軽井沢で「晴耕雨読」をしていた鳩山一郎は、オーストリアの政治家リヒャルト・クーデンホーフ・カレルギーの『自由と人生』を読んで感動し、二十七年に政界に復帰すると、同書の訳書を出し、「友愛革命」を唱えた。
 カレルギーはヨーロッパの平和と統合を目指す汎ヨーロッパ主義を唱え、「EUの父」と呼ばれた人で、オーストリア・ハンガリー帝国駐日特命全権大使ハインリヒ・クーデンホーフ=カレルギー伯爵を父に、東京牛込出身の日本人女性、青山光子を母に、東京で生まれている。
 彼は、「フランス革命は自由、平等、友愛の実現を目指したが、自由だけが実現したが、自由はともすれば利己主義を招き、経済的な不平等、つまり貧困の差を広げる」とし、相いれない自由と平等を調和させ人々が助け合うために、自分と同時に他者を大切にする必要を説いた。思想史的には、イギリスのロバート・オウエンらによる組合社会主義(サンディカリズム)の流れを汲むキリスト教社会主義ないしは民主社会主義の一つと言えよう。
 友愛思想を日本に導入したのが賀川豊彦で、大正元年には、元新聞記者でクリスチャンの鈴木文治らが結成した労働組合「友愛会」に接近している。これが「日本労働総同盟」の前身で、現在の日本労働組合総連合会(連合)につながる。拠点となった東京都港区の友愛会館は、当時、「汝の隣人を愛せよ」を実践原理とするキリスト教の「ユニテリアン教会」だった。
 保守派からは、中国に隷属するようになるとして警戒されている東アジア共同体の構築も、EUに倣ったものである。ヨーロッパのようにキリスト教という共通の文化がない東アジアでは、その可能性を疑う声もあり、最大の懸念が中国であることは言うまでもない。少なくとも民主主義の理念を共有することを前提とする必要があり、それに向けての改革を中国に迫るくらいの迫力が欲しい。

 組合依存からの脱却を
 友愛には世界に通じる普遍性があるが、心配なのは鳩山内閣の閣僚十七人のうち七人が、連合の組織内議員であることだ。かつて組合は社会的弱者の集まりだったが、今や正規労働者の権益を守る特権的な組織となっている。鳩山首相が支持母体である組合の利益を守ろうとすると、官僚依存政治からの脱却も本格的な景気回復もできない。
 総選挙で国民が選択した、戦後初の本格的な政権交代が、本当の意味で国民の勝利となるには、鳩山政権が組合依存体質から脱却することが不可欠となるだろう。主義ないしは民主社会主義の一つと言えよう。
 友愛思想を日本に導入したのが賀川豊彦で、大正元年には、元新聞記者でクリスチャンの鈴木文治らが結成した労働組合「友愛会」に接近している。これが「日本労働総同盟」の前身で、現在の日本労働組合総連合会(連合)につながる。拠点となった東京都港区の友愛会館は、当時、「汝の隣人を愛せよ」を実践原理とするキリスト教の「ユニテリアン教会」だった。
 保守派からは、中国に隷属するようになるとして警戒されている東アジア共同体の構築も、EUに倣ったものである。ヨーロッパのようにキリスト教という共通の文化がない東アジアでは、その可能性を疑う声もあり、最大の懸念が中国であることは言うまでもない。少なくとも民主主義の理念を共有することを前提とする必要があり、それに向けての改革を中国に迫るくらいの迫力が欲しい。

 組合依存からの脱却を
 友愛には世界に通じる普遍性があるが、心配なのは鳩山内閣の閣僚十七人のうち七人が、連合の組織内議員であることだ。かつて組合は社会的弱者の集まりだったが、今や正規労働者の権益を守る特権的な組織となっている。鳩山首相が支持母体である組合の利益を守ろうとすると、官僚依存政治からの脱却も本格的な景気回復もできない。
 総選挙で国民が選択した、戦後初の本格的な政権交代が、本当の意味で国民の勝利となるには、鳩山政権が組合依存体質から脱却することが不可欠となるだろう。

クョスコニョ    [1] 
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