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  平成20年10月20日号社説
 

「和」で世界に貢献を

 就任九カ月目でのオバマ米大統領のノーベル平和賞は少し早すぎる気もするが、将来への期待を込めた選考なのだろう。核廃絶は国際協調、民族・宗教融和が実現してこそ達成される。地球の温暖化防止や自然環境保護もそうだ。理想は見えても、たどり着く道筋は定かでない。断絶や脱線は許されないため、細心の注意を払いながら目標に向かって進んでいく舵取りが、政治指導者には求められる。
 
日本人の原意識
 一カ月を経過した鳩山新政権は、国民の支持率が70%と予想以上の高さを保っている。これも将来への期待値が大きいからだろう。対米追従外交の見直しや東アジア共同体構想、アフガニスタンへの民生支援への転換など、いずれも国際社会における日本の主体性の確立を目指しているように思える。
 そのキーワードが「友愛」なのだが、日本語としてはなじみが薄い。国民に向けては、むしろ「和」と言うべきだろう。和は古来から共有してきた原意識と言え、民族の主体性がよって立つ精神的基盤である。
 太古の日本列島は大陸と陸続きで、様々な部族が各地からたどり着き、暮らしていた。紀元前十世紀までの約一万年続いた縄文時代に日本海ができ、暖流の恩恵を受けた日本は温暖で湿潤な島となる。弥生時代になると、華南地方から米作技術を持った人たちが渡来し、縄文人と弥生人が融合して日本民族が生まれた。
 縄文時代の集落が宗教施設を中心に円環状を成していることに、和の思想の発生を見ることができよう。それは、共同作業を必要とする米作で鍛えられ、民族の原意識となっていく。それぞれの神を崇拝する多くの部族が共存したことも、それを促したであろう。八百万の神々は、そうして生まれてきたと思える。
 それを「和」の言葉で明確にしたのが聖徳太子である。渡来の儒教や仏教を使って国づくりを進めながら、その基本は民族の伝統思想である「和」に定めた。それ故、後に親鸞によって「和国の教主」と呼ばれたのである。
 権威と権力を分離し、権威の象徴として天皇家を万世一系で存続させてきたのも、和の力であろう。その結果、「皇室の名宝」展で見られるように、日本の文化は皇室を中心に保存・継承されてきた。
 和には、付和雷同のように悪いイメージもあるが、それは和と同を混同しているからである。君子は和して同ぜずとあるように、和と同を峻別したのが、藤原惺窩や荻生徂徠だ。日本的経営には和が生かされ、悪しき集団主義には和が殺された。和とは人間集団を活性化させるダイナミズムであり、それには時代に即応した正しい知恵と知識が必要となる。
 
なぜ夫婦別姓か?
 鳩山政権で懸念されるのは、選択的夫婦別姓を唱える千葉景子法相と福島瑞穂少子化・男女共同参画担当相など左翼勢力と決別できていない点である。友愛を実践した賀川豊彦も共産党と行動を共にしたが、思想的には唯心論で唯物論には絶対に妥協しなかった。政権運営のため左翼と連携しても、思想的には峻別しなければならない。
 市場原理主義も社会主義も、近代個人主義の負の側面の極致と言えよう。孤立した個人を絶対化し、その自由を守るのが民主主義だとする。そうした社会は、十九世紀に米国を見たトクヴィルが指摘したように、キリスト教信仰に裏付けされているうちは大丈夫だが、それを失うと家族まで解体させる砂粒のような個人主義の社会になりかねない。
 それに比べて日本人の社会は、人の和を大事にする仕組みを発展させてきた。天安河原の神集いのように神も独断で決めることはなく、憲法十七条では「物事は独断で決めず、みなと意見を交換しなさい」と定められた。それが五箇条の御誓文の「広く会議を興し、万機公論に決すべし」に受け継がれ、昭和天皇の昭和二十一年の年頭の詔書でよみがえるのである。日本人は古来からの生き方に基づいて日本の民主主義を発展させてきた。そうした伝統を踏まえ、和に基づく世界貢献を考えるべきではないか。

クョスコニョ    [1] 
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