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平成21年9月20日号[天地] |
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京都府の南端、奈良県との境にある浄瑠璃寺を訪れたのは、実に四十三年ぶり。大学一年の夏に行った時は、本堂脇に青いアジサイが咲いていた。それを池越しに眺めた風景が脳裏に残っている。近鉄奈良駅前から午後一時半発のバスに乗って約三十分。戻りは三時半発のバスに乗る。それが最後という不便さ▼寺名は薬師如来がいます東方浄瑠璃世界に由来し、池を挟んで東に薬師如来像をまつる三重塔が、西に九体の阿弥陀仏をまつる横長の阿弥陀堂(本堂)がある。薬師仏によって苦界から救われ、阿弥陀仏が迎えてくれる西方浄土にたどり着くという、当時の浄土信仰を反映した造り。阿弥陀仏群の中央に、秘仏の吉祥天女立像が厨子に入っている▼かつては寮祭で知り合った国文専攻の奈良女子大生と一緒だった。この辺りは当尾(とうの)の里と呼ばれ、鎌倉時代の石仏や石塔などが点在している。岩船寺(がんせんじ)まで歩いたことがあるという彼女の説明は、耳に残らなかった▼センチメンタルジャーニーのつもりが、過去の記憶との断絶の大きさを知ることになった。関心の持ち方によっては、見えるものも見えない。せめて残された人生は煩悩の海から少し顔を出し、見るべきものを見ようと思った。
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