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平成21年11月5日号[天地] |
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政権交代を実感したのは、天地子が参加している農業法人の総会で、補正予算の見直しに伴う補助金カットを聞かされた時だった。二十軒ほどの農家が参加し、二十町の田んぼで米、小麦、大豆を栽培し、毎年、耕作面積を増やしてきたのだが、耕作委託に伴う補助金が消えたため収入が減少する。トラクターなどの半額補助は通ったが……▼農家に対する戸別補償が本格化すると、法人に耕作委託をしていた農家が、それを目当てに田んぼを引き揚げるようになる。大規模化、効率化に逆行する政策で、競争力のない零細農家を温存するだけだ。ほとんどが兼業か家庭菜園程度で、農業に生活をかけているわけではない。一方、多品種の野菜作りや大規模化で自立を目指す専業農家や法人を、もっと元気にする政策はない。露骨に言えば、多くの零細農家を助ける方が票になるからだろう▼法人化すると当然、帳簿もつけ、税金も納める。ところが、零細農家の多くは帳簿もなく、所得補償をしようにも所得は把握できない。確かにヨーロッパでは戸別補償が一般的だが、その前提として農地を強制的に集約・大規模化し、競争力を高めてきた▼弱者への優しさは大切だが、それが努力の芽を摘むようだと、本人を不幸にしてしまう。鳩山首相がマキャベリスト小沢幹事長の力を借りて夢を実現させるには、それなりのしたたかさが必要だろう。
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