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  平成22年2月5日号社説
 

政教分離の厳格適用は疑問

 北海道砂川市の二つの神社をめぐる政教分離裁判で二月二十日、最高裁大法廷は市有地を無償で使用している空知太(そらちぶと)神社について「違憲」の判断を示した。もう一つの富平神社は、既に敷地が地元町内会に無償譲渡されていたので合憲とされた。憲法で定める政教分離の原則に沿うか否かの判断は、昭和五十二年の津地鎮祭訴訟の最高裁判決で示された目的効果基準(目的が宗教的意義を持ち、効果が特定宗教を援助、助長あるいは他の宗教を圧迫するものでない限り、憲法違反とはいえない)が踏襲されてきたが、今回の判決は「一般人の目から見て、市が特定の宗教に対して特別の便宜を提供し、これを援助していると評価されてもやむを得ない」と指摘し、「一般人の評価」を加えた。政教分離原則のより厳格な適用を求めるもので、大きな問題を含んでいる。
 
無用な混乱を招く
 空知太神社は明治時代に開拓住民が祠(ほこら)を作ったのが始まりで、現在は町内会の所有。氏子が管理し、祭りには別の神社から神官を招き儀式を行っているという。いわゆる民俗神道の神社である。
 神道は三つに分類される。神社を中心に信仰・祭祀を行う神社神道と、明治政府に認められた神道系新宗教教団の教派神道、そして地域や家庭に根ざした信仰の拠り所が民俗神道である。日本人の暮らしに最も深く関わっているのが民俗神道で、古代からの日本人の生き方そのものともいえよう。砂川市の二つの神社もそれで、町民会館が併設されていたように、古くから住民の共有財産として使われてきたのであろう。それ故、法的整備に遅れがあったのは仕方のないことである。
 最高裁は、さらに「違憲状態を解消する手段について審理を尽くすべき」だとし、二審判決を破棄し、札幌高裁に差し戻した。砂川市長は市有地の無償譲渡を含め対応策を考えると話しているが、同様の神社や宗教施設は全国に数千あると見られ、自治体が対応に追われる恐れがある。日本の現状に合わない憲法原則の厳格適用がもたらす混乱を、違憲判断を示した九人の裁判官はどう考えているのだろうか。
 一人だけ堀籠幸男裁判官は「空知太神社は地域住民の生活の一部となっており、ほかの宗教と同列に論じるのは相当ではない」と合憲判断をし、判決に反対意見をつけた。正論を述べた勇気を評価したい。
 判決に対して神社本庁は「神社が存在する土地が町内会に譲渡されたことが合憲とされた部分は、論理に問題がないわけではないが、結論としては常識にかなった判断である。しかし、公有地上に神社が存在すること自体を直ちに違憲と判断したことは、歴史的かつ現実の国民生活の実情を無視するものといえよう。神社に限らず、他宗教の類似の施設が全国に点在していることを考えると、国民生活に無用な混乱を招くことが懸念される」とコメントしている。
 政教分離は明治の日本が西洋列強に合わせた近代国民国家をつくるときに導入されたもので、日本の伝統文化に合わない面もあった。さらに戦後の占領下に作られた憲法で、戦前のような神道の影響を排除することを主な理由に、政教分離がより厳しく定められた。そうした経緯から、政教分離原則の適用は実情に合わせ緩やかに行うこととされてきた。
 勿論、グローバルスタンダードに合わせることも国の存立を図る上で重要であり、明治天皇は西欧から導入した君主機関説を体現することで、欧米諸国のようにいわゆる国民宗教を持たない日本が近代国民国家となることを可能にし、戦後、昭和天皇は国民統合の象徴として日本には古来より民主主義があったことを身をもって示された。
 
身近な神社を見直す
 もう一つ、法曹界には青年法律家協会のように、左翼思想を持つ人たちがいることを忘れてはならない。彼らの狙いが、憲法の厳格適用を超え、日本そのものの解体にあるとしたらどうか。
 さらに「一般人の評価」が加味されるなら、国民として地域の身近な神社を見直してみる必要がある。むしろ、そのための好機としてこの判決を受け止めたい。

クョスコニョ    [1] 
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