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  平成22年7平成22年6月20日号社説月5日号社説
 

和の力で、前へ

 本番直前の試合が負け続けではらはらさせた岡田ジャパンが、カメルーン戦で初勝利を挙げたのを皮切りに、試合を重ねるごとに進化し、岡田武史監督の評価も手のひらを返すように高まった。それに伴い、岡田監督が師事する禅僧・野田大燈師が話題になっている。サッカーW杯大会が開かれる南アフリカへ出発前、香川県高松市の禅道場に足を運んだ岡田監督に野田師が贈った言葉は、般若心経の最後にある「羯諦(ぎゃーてい)」だったという。その意味は「前へ進め」。
 今大会で気がついたのは、選手たちが試合前の「君が代」を真剣に歌っていることだ。しかも、全員が肩を組み合っている。そんな心がけが、日本民族の伝統である和の力を発揮させたのだろうか。そこで、話題の野田師の知られざる側面を少し紹介してみよう。
 
本堂より道場を
 香川県高松市の西部に五つの峰から五色台と呼ばれる山がある。その中腹に建つのが野田師が理事長を務める財団法人喝破道場で、昭和四十九年から不登校児や非行少年を預かり、共同生活を通して更生させている。近くに白峯寺と根香寺の二つの四国霊場札所がある。野田師はここに曹洞宗報四恩精舎を開き、その後、情緒障害児短期治療施設や児童養護施設の運営も任され、最近は引きこもりやニートの若者を受け入れ、社会復帰を助ける若者自立塾にも取り組んでいる。
 野田師は昭和二十一年に高松市に生まれ、地元の高校を卒業後、医療機器のセールスや鐵灸師などを経て、二十八歳で人の心を癒やしたいと考え脱サラ。諸宗教の中でも禅に引かれ、栗田大俊師(元駒沢大学理事長)の弟子になった野田師は、やがて出家、永平寺で三年間修行した。そして、畑を耕しながら坐禅する道場を作ろうと、父親が残した五色台の土地に大きな醤油樽を置いて暮らし始めたのが寺の始まりで、檀家はない。
 偶然、不登校の少年と出会ったことから、野田師は問題児と生活を共にするようになった。その活動は次第に社会に知られ、来る人も増えたので道場を作りたくなった野田師は、高松三越の前で托鉢を始める。趣旨を書いた旗を立て、その前で坐禅を組んだという。支援者の協力で昭和五十三年に禅道場が完成。その後、製パン工房やハーブ園、喫茶店なども開き、活動が評価され正力松太郎賞やキワニス社会公益賞を受賞した。
 しかし昭和六十三年、預かっていた女の子が事故で亡くなり、野田師は絶体絶命のピンチに直面する。昼食後、散歩に出たきり行方不明になり、一カ月後に谷に落ちて死んでいるのが発見されたのだ。マスコミに叩かれた野田師は、緊急役員会で道場の閉鎖を提案したが、役員たちに励まされる。幸い、遺族から訴訟を起こされることもなく、むしろ女の子の冥福と道場の子供たちの守り神として、遺族と共に地蔵を造立。これを機に、厚生労働省の指導で社会福祉法人四恩の里を設立したことが、運営の健全化につながった。
 そうした活動が、葬式に頼らない寺づくりを目指していた板橋興宗前總持寺貫首(現御誕生寺住職)の目を引き、野田師は平成十三年に横浜市にある總持寺の後堂(修行僧の責任者)に抜擢され、十八年まで務めた。岡田監督と知り合ったのはその間のこと。
 
宗教の教育力
 鎌倉仏教の中でも禅宗が主に武士の間に浸透したのは、個人の独立を説く教えが戦いに臨み、命をやり取りする武士に向いていたからだろう。野田師は岡田監督に繰り返し平常心を説いている。
 禅の核心は、過去や未来に影響されることなく、今に集中することにあると言えよう。過去を悔い、未来の不安に怯えていては、持てる力を発揮することができないからだ。自分には今しかないというのが禅の悟り。それが心と体の和を生み、周りの人たちとの間にその和を広げていく。
 日本の和とは静的なものではなく、ダイナミックなものだ。サッカーのようなチームプレーでは、特に和が鍵となる。
 主に心の面から人間を見つめてきた宗教には、人を育てる伝統的なシステムがある。それを今の時代に生かすのも、現代社会における宗教の大きな役割だろう。岡田監督と野田師の交わりは、その可能性を示唆している。

クョスコニョ    [1] 
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