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  平成22年11月20日号社説
 

老いをどう生きるか

 宇都宮市で開かれた第四十一回全日本仏教徒会議栃木大会の挨拶で、河野太通全日仏会長は、冒頭「そもそも仏教は社会文化現象の一つであるのに、わざわざ社会参加を掲げたのは、人々のニーズに現代の仏教が応えていないのではないかとの反省からだろう。正しい宗教は土地や時代を超えて、人間が目指すべき真実を自己の内側に追求し、その時代にいかに生くべきかを説き、実践していくものである」と語っていた。
 これまでの時代に比べ現代に突出している人生の大きな問題は老いであろう。老いに伴う介護や医療、年金などの問題は、国の財政を揺るがし、社会を硬直化させている。老いの問題に宗教はもっと積極的に発言すべきではないかと考えていた時、手島郁郎の英詩講話『老いゆけよ、我と共に』(キリスト教聖書塾)に出会った。手島は無教会派の流れを汲む日本で生まれたキリスト教「キリストの幕屋」の創始者である。
 
老後こそ最善
 同書は、十九世紀の英国の詩人ブラウニングが、十二世紀のスペイン生まれのユダヤ人聖書学者ラビ・ベン・エズラの生涯と思想に感動してつづった宗教詩「ラビ・ベン・エズラ」についての講話録である。
 ベン・エズラが生まれた当時のスペインはイスラムの世界で、ユダヤ人はイスラムの進んだ文化・技術をヨーロッパに紹介するのに大きな役割を果たしていた。ところが、キリスト教がスペインを奪還し始めると、ユダヤ人は迫害されるようになり、富裕なベン・エズラの家も没落し、彼はローマからアフリカ、パレスチナ、ペルシャ、インドなどを遍歴するようになる。ひどい貧窮と不遇に堪えながら情熱的に真理を探究し、後進を育て、人々を励ます、昔の預言者のような人であった。
 ブラウニングの詩「ラビ・ベン・エズラ」は、「老いゆけよ、我と共に!/最善は これからだ。人生の最後、そのために最初も造られたのだ。……」と始まる。そして「老年をして 若き年を肯定せしめ、/死をして 老年を完からしめよ!」と結ばれる。
 手島は次のように解説する。「人間は青年期になると、この肉体のほかに霊魂が目覚めてきます。そして老年に至り、死を間近にすると、霊魂は円熟してきます。力を持ってきます」「地上で霊魂を成長するだけ成長させてから、次の世界に行かなければならない。霊魂は、永遠の生命を求めて老いることを知らないのである。死に直面した危険な時にも怯まずに進めば、霊魂というものは目覚めてくるのだ。こういう思想が、ブラウニングの根底にあります」
 青年期における霊魂の目覚めを示唆するのは、高村光太郎の詩「僕等」の「僕はあなたをおもふたびに/一ばんぢかに永遠を感じる」という一節だ。有限で相対的な人間が、不思議に永遠や絶対を求め始める。愛国者の手島は、吉田松陰の辞世の和歌の一つ「七たびも生きかへりつゝ夷(えみし)をぞ攘(はら)はんこゝろ吾忘れめや」を紹介している。
 ホリスティック医学を提唱している帯津良一さんは、生きているのは自分のエネルギー場を高めるためで、死はその絶頂期において虚空に向かい旅立つことである、と自らの死生観を語っている。
 老いを避けたいものとしている限り、その生き方を手にすることはできない。むしろ、老後こそ人生の絶頂期であるとして、それを目指した生き方を、若い頃から奨励することが必要だろう。老後になってからでは、もう手遅れになりかねないのだから。
 
 生き方の核心に
 肝心の死後のことについては、宗教、宗派によって説き方が異なる。もっとも、こうだと断定されても、その受け止め方は人によって違う。要するに、自分で考え、納得しなければならない問題だからだ。その点では、あえて語らなかった仏陀の姿勢に共感する。
 老いや死の問題を含め人生をトータルに考える方法としての宗教が、今の時代には求められているように思う。それも、周辺的な技術や手法ではなく、生き方の核心に役立つヒントを提供するものとしてである。

クョスコニョ    [1] 
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