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平成22年12月5日号[天地] |
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紅葉に誘われて十一月二十九日の月曜、高尾山に登った。ケーブルカーの清滝駅から稲荷山コースで五百九十九メートルの山頂まで約一時間半。日曜に予定していたのだが、混むとの情報で変更、正解だった。平日なのにたくさんの人出で、中高年の女性が圧倒的。ふもとのモミジは終わりごろだったので、山頂はどうかと心配しながら登る▼山道には落ち葉が積もり、木の根がヘビのようにはっている。カシやスギの緑の中に、カエデやケヤキの黄色が混じり、ところどころ色づいたモミジが自己主張している▼視界が開けたところに出ると、紅葉に染まった山の向こうに高層ビルの建つ東京が見える。ここはまだ山の東斜面。中腹を過ぎると西側に出て、雪をかぶった富士山が姿を見せた▼最後の長い階段を上ると山頂。ケーブルの山頂駅とは反対側、富士山が前面に見える展望台近くに出る。うれしいことに紅葉は今が盛り。黄色から真紅までモミジのグラデーションが目を楽しませてくれた▼前回登ったのは二十五年前、長男が四歳の頃。六年前、彼は二十二歳で早世した。息子を肩車して歩いた山道を、今は一人で歩いている。楽しい思い出も悲しい思い出もない交ぜになり、モミジの色が深く心に残った。
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