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平成23年3月20日号社説 |
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一つになって日本の再建を
三月十一日に起こった東北地方太平洋沖地震はマグニチュード9・0という日本の観測史上初めての巨大な揺れと津波で、東北、関東一円に想像を絶する被害を与えた。亡くなった方が一万人を超えることが予想され、避難者は数十万人という規模で、まさに戦後最大の国難と言えよう。尊い命を失われた方々には、心からの哀悼の意を捧げたい。 被災地の悲惨な映像を見るにつけ、これまで営々として築いてきたものが一瞬のうちに失われてしまったことに呆然とさせられてしまう。それを目の当たりにしている被災者の方々のことを思うと、救援の手が少しでも早く届くようにと祈らざるを得ない。 世界が注目 この未曽有の国難に、私たち国民は一つになって、被災者を支援し、被災地の復興を応援しなければならない。先頭に立つのは政府や各自治体や救援活動の専門組織だが、それだけでは不十分なことは、過去の経験から明らかだ。既に、阪神・淡路大震災の時のように、宗教団体を含む多くのボランティア組織が救援活動を始めている。 地震の専門家によると、東日本巨大地震は世界では四十年に一度、日本では千年に一度のものだという。八六九年に起きた陸奥大地震大津波が、残された砂の層から同じ規模だったと推測されている。 近くでは、二十二万人もの死者・行方不明者を出した二〇〇四年のスマトラ島沖地震と大津波が記憶に新しいが、日本の大地震も世界の注目を集めている。津波に伴う火災や、原子力発電所の非常事態は、文明の進んだ現代ならではの災害であり、各国とも同じ課題を抱えているからだ。 米紙ウォールストリート・ジャーナルは十二日号の社説で「不屈の日本」と題し、「大自然の打撃に遭っても、日本人は生き延びるための備えをきちんとしている」と指摘している。しかし、世界が驚くほどの宮古市の高さ十メートルの頑強な防波堤も、今回の津波は容易に乗り越えた。想定外の災害にどう対処するか、それが関心を集めている。 考えるだけでも、被災者がこれからも直面していく悲しみと苦難の大きさに胸が痛む。家族の行方を捜し求める人もいれば、ご遺体に対面し、その弔いを考えなければいけない人もいるだろう。その一方で、不自由な生活を続けながら、心と体を健康に保ち、家族のことを思いやる。助け合い、支え合うことが、心に希望の火をともすことを願ってやまない。 福島第一、第二原子力発電所が運転を停止した東京電力では、関東一円に計画停電を実施する。これ以外にも、国民が痛みを分かち合うことが続くだろうが、日本を再建するために進んで協力していきたい。先の敗戦からの復興を思うと何でもないという人も、まだ多く健在である。その先輩たちの知恵と覚悟を学ぶ必要があるようだ。 今回の大地震は、日本列島の東側海底に沈み込む巨大なプレート(岩板)の境界で起きた反発現象によるものだという。地球全体としては小さな現象だろうが、その表面に暮らす人間にとっては、生命と生活に甚大な被害をもたらすものだった。しかし、これが地球に住む人類の宿命でもあり、それ故、防災は人類的な課題である。日本がこの困難にどう立ち向かい、立ち直っていくかは、世界の人たちにとって大きな教訓となる。 国際化の時代、既に海外から救援の手が差し伸べられている。幸い、日本に好意を持つ人たちは世界各国に多くいることを、私たちはありがたく思う。それは先人たちの努力の賜物であり、私たちが引き継いでいくべきことである。 日本と日本人の再生 被災し、孤立した人たちに少しでも支援の手が届くよう、私たちができることを考え、実行していきたい。その思いと行動が、無縁社会などと言われる今の日本を、根底から変えてくれるようにも思う。 今に全力を傾けて生きることだ。きょうを乗り越えれば、必ず明日が開けてくる。被災地の人たちに思いを馳せながら、日本が見事に再生していくまでの日々を過ごしていきたい。それが日本人としての自分を再生させてくれることを信じて。
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