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  平成23年4月20日号社説
 

ふるさと再建へ

 「復興構想会議」が動きだし、全閣僚で構成する「復興本部」と被災地に設ける「現地対策本部」を軸に、東日本大震災からの復興が始まりつつある。居
住地を失った被災者にとって
は、まさに「ふるさと再建」である。
 堺屋太一さんはこの大震災を「三度目の敗戦」(文藝春秋五月号)と呼んでいるが、明治維新後と先の大戦後に続く「三度目の国づくり」と言うほうがふさわしい。一度目の目標は、西欧列強に倣う近代国民国家で、富国強兵を掲げ、若者のようにその道を驀進した。二度目の目標は経済復興で、戦後の奇跡が世界を驚かせた。
 
家族・地域の大切さ
 四月十五日、千葉県旭市の避難所ご訪問で始まった天皇皇后両陛下の被災地慰問は、昭和天皇の御巡幸を思い出させる。腰を落として被災者一人ひとりに向き合い、やさしく語り掛け、話を聞かれるお姿は、これまで何度も被災地で見られたものであり、今上陛下ご自身が自然に確立されてきたものである。
 三月十六日、天皇陛下は国民に向けたビデオメッセージで、「何にも増して、この大災害を生き抜き、被災者としての自らを励ましつつ、これからの日々を生きようとしている人々の雄々しさに深く胸を打たれています」と述べられた。被災者の冷静さと高い道徳性、被災地に略奪やパニックが起こらないことに、世界も感嘆の声を上げている。
 思えば、戦後の国づくりは、昭和天皇の「堪へ難きを堪へ、忍ひ難きを忍ひ、以て万世の為に太平を開かむと欲す」から始まった。
 今上天皇はメッセージの最後を「国民一人びとりが、被災した各地域の上にこれからも長く心を寄せ、被災者と共にそれぞれの地域の復興の道のりを見守り続けていくことを心より願っています」と結ばれた。国民の心を一つにできる天皇を戴く幸せを感じる。
 いまだに一万を超える行方不明者がいること、陸にも海にも堆積する瓦礫の大きさ、まだ終息のめどが見えない原発事故などの深刻さから、復興、ふるさと再建を口にすることさえ、はばかられそうな気持ちに襲われる。そんな時、先人たちは黙って手を合わせてきたのではないだろうか。犠牲になった人たちへの心からの慰霊を欠いて、希望への復興はあり得ない。何より宗教者は、国民的な慰霊の営みから取り組んでいくべきだろう。既に、宗教・宗派を超えたその動きが各地で見られる。
 その上で、ふるさととは何か、改めて問うてみよう。家族的なつながりで人々が助け合いながら暮らす地域である。人は一人では生きていけないことを、災害は如実に教えてくれる。長引く避難場所での生活でも、血縁・地縁の保たれたところでは、人々のストレスが少ないという。
 復興構想会議の議長代理を務める安藤忠雄さんが、テレビで「大震災は(失われつつある)家族の大切さを教えてくれた」と語っていたのが印象的だった。被災地の東北が、比較的地域の絆が強い地方なのは、復興にプラスに働くだろう。
 家族と地域共同体を大切にしながら、安全な環境を整え、価値のある仕事を見いだしていかなければならない。それらは、何より被災者自身が立ち上がり、前向きに生きる中で発見することが中心になる。それを、復興地の産物を消費するなど、全国が日常生活の中で応援することだ。
 
ピンチをチャンスに
 一九九三年に北海道南西沖地震で大きな被害を受けた奥尻町は、背後の高台と防波堤の内側に造成した高地に居住地を設け、従来の地域を丸ごと移転したという。そして、五年後に完全復興を宣言することができた。被災面積が格段に広い今回は、もっと長くかかるかもしれないが、貴重な事例になるだろう。
 二十一世の国づくりを考えると、快適な生活と同時に安全・安心が保障され、生きがいのある家族、地域の形成を目指すべきだ。大震災の復興がその始まりとなれば、日本人はピンチをチャンスに生かせる民族として、再び世界を驚かせるだろう。

クョスコニョ    [1] 
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