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平成23年12月5日号社説 |
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未来に対する責任
来年四月から中学校で使われる自由社の『新しい公民教科書』市販本を読んだ。 「動物は死を恐れるが、『死』を考えることはできない」として、宗教の大切さを紹介。「家族のなかで育つ私たち」として、家族の絆が郷土や国家の礎であると教えている。 教育基本法の改正で問題になった愛国心については、自己愛から家族愛・愛郷心を経て発展し、国際社会の平和と発展に貢献する精神の土台をなす、として、阿倍仲麻呂の望郷の歌「天の原ふりさけみれば春日なる……」や、オリンピックの北島康介選手が載っている。 この機会に、公民教育について考えてみた。 公民を育てる 公民教育の目的は、憲法の主権在民を前提に、国家を健全に運営するために、やがて選挙民、つまり公民になる中学生に教養や態度、能力を培うことにある。そこには当然、国家論や国防が含まれていなければならない。ところが、そうした課題に応える教科書が出ていなかった。 同書を代表執筆した杉原誠四郎さんは、各社の教科書を読んで、あまりのひどさに愕然としたという。「憲法の主権在民に合わせて、責任を持てる国民を育てないといけないのに、国民主権を天皇制否定の論理でしか教えていない」と。 その結果、鳩山由紀夫元首相のように、「学べば学ぶほど」米海兵隊の抑止力の大切さが分かったという人が出てきた。そんなことは中学校で学んでいなければならないのに、首相になり、沖縄の米軍普天間基地移設にかかわって初めて分かったというのでは、遅過ぎる。 平成十八年に教育基本法が改正され、戦後教育の反省から「国を愛する心」「公共の精神」が盛り込まれたのは画期的だった。「公共の精神」は公民教育の最重要な道徳的徳目である。この「国を愛する心」や「公共の精神」について、今回、検定に合格した教科書では育鵬社が少し述べているが、東京書籍など五社では全く触れていない。にもかかわらず、全体で採択率は95%になっていて、これで公民教育ができるのか心配だ。 名古屋市では河村たかし市長の協力もあって、歴史・公民の教科書を出版した教科書会社の代表を招き、歴史・公民の教科書の公開討論会が開かれたが、「愛国心」や「公共の精神」を書かなかった教科書会社はすべて出席しなかった。 ところが、三人の教育委員が公開討論会を傍聴し、欠席した教科書会社の教科書の欠陥を十分に知ったのにもかかわらず、名古屋市教育委員会は、欠席した会社の教科書を採択したのである。そうなった大きな原因は、河村市長の前の市長に任命された教育委員だからで、教育委員会の多くも日教組に支配されているという。教育の中立性を確保すべく設けられた教育委員会が、国民の目から教育を遮る障害物になっている。 興味深いことに、戦後、否定された日本の戦前の優れた道徳教育が、韓国に残っている。杉原さんの『日本の道徳教育は韓国に学べ』によると、修身が戦後、韓国に引き継がれ、道徳は子供たちに上から押し付けるものだとして教えている。 韓国では一九七三年から「道徳」が科目として、小学校三年から高校一年まで、国定教科書で教えられている。道徳の基盤となる宗教についても触れており、小六の教科書には「偉大な教え」として釈迦とキリストについても感動的な話で教えているという。韓国経済の強さは、そのせいかもしれない。 日本では戦後の民主化で、教育も押し付けてはいけないとされ、道徳もその影響を受けた。道徳教科書には、現実には存在しないような子供たちのトラブルが書かれ、話し合いによる解決法が述べられるなど、子供たちの心に残らない。戦後教育の最大の失敗が道徳教育だろう。 子供に何を残すか 国の将来はどんな人を育てるかにかかっている。今のような社会をつくった大人たちには大いに反省し、自身の暮らしの安定より、子供たちに何を見せるか、何を残すかを考え、実行しなければならない。
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