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平成23年3月20日号[天地] |
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天地子は二十代後半の八カ月を岩手県の盛岡で暮らし、宮古や釜石、陸前高田など訪ねたことがあるので、津波で様変わりした光景を見て、涙が流れてきた。宮古には浄土ケ浜という美しい海岸があり、リアス式の三陸海岸は、山の緑と海の青がきれいだった▼宮城県の東松島市には、瑞巌寺や松島を見て一泊した。仙台から乗った仙石線の列車が、くの字型に折れ曲がり、泥の中に横たわっていた▼福島県の相馬、南相馬には相馬野馬追の取材に行ったことがある。海岸に近い東部が「浜通り」と呼ばれることも初めて知った。かつての相馬藩の伝統が神事として守られていることに感心したものだ▼青森県の八戸は、本紙の初代社主、松下正寿先生の生誕地で、生家跡にはホテルが建っている。そんな縁もあって、ゆかりの地を訪ねた▼どの土地にも、そこに長く根を下ろして生きてきたことを思わせる人がいて、その人柄が思い出すと懐かしい。そんな人たちをなぜ、との思いも湧いてくる▼自然は優しい半面、厳しい。時には、人間の生存を許さないような厳しさを見せる。しかし、そんな自然に私たちが生かされているのも事実である。生きている私たちが考えるべきは、第一に生き続けること。そして、少しでも周りの役に立つこと。前を向いて生きていれば、必ず道は開ける。
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