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平成23年6月5日号[天地] |
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五月二十八日、京都・詩仙堂の皐月を見ようと、一乗寺下り松でバスを降りた。歩くと、まず宮本武蔵が吉岡一門と決闘した地に、四代目の松があった。そこから少し坂を登ると、予想外に小さな門が詩仙堂▼竹林の細道を抜け、屋敷に上がると、庭の皐月はまだ三分咲きだった。徳川家の家臣、石川丈山が建てた隠居の山荘で、今は曹洞宗大本山永平寺の末寺だという。紅葉の若葉が目に染みる。秋にまた来ようと思う▼隣に、決闘前に武蔵が参った八大神社がある。二刀を構えた武蔵の銅像が建ち、前記の松の初代枯れ株が飾られ、参道には萬屋錦之介が主演した映画の写真が展示されていた▼さらに奥に狸谷山不動院があるというので、ついでに登った。ご本尊の不動明王は平安京の鬼門守護として桓武天皇の勅願で祀られ、タヌキ(咤怒鬼)不動明王として信仰されてきたという。大きな本堂に驚く▼鹿ケ谷の俊寛の山荘跡を見ようと、上宮ノ前町から東山山麓を登ると、そこにも修験道の寺があり、小さなお堂を老夫婦が守っていた。できたのは三十年前だそうで、山岳信仰が街の近くで生きているのに感心する。昔は東山から比良山にかけて僧坊が三千あったという。俊寛山荘跡の石碑を聞くと、まだ山道を三十分と言うので、あきらめた。
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