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  平成24年3月5日号社説
 

生きるすべの防災教育を

 東日本大震災から一年目の三月十一日を前後して、各地で犠牲者を追悼、慰霊する行事が催される。悲しみを新たにしつつ、私たちはつらい経験を貴重な教訓として、将来に生かす取り組みを始めなければならない。
 加えて、日本は一九九五年の阪神・淡路大震災から地震の活動期に入ったとされる。さらに地球温暖化が一つの原因とされる異常気象により、豪雨や台風の被害が大型化している。地震や森林荒廃でもろくなり、豪雨で地すべりを起こす危険をはらむ山は各地に多い。
 今まで以上に危険な時代を、私たちは生きていくことになる。とりわけ、子供たちにそのことをきちんを教え、できるだけの備えをしておく必要があるだろう。
 
防災教育は道徳教育
 愛媛大学防災情報研究センター長の矢田部龍一・同大副学長は、「少子高齢化の上に膨大な借金を抱え、日本の将来は厳しくなる一方で、子供たちは夢や希望を持てなくなっている。そんな時代にも生き延びられるよう、強い心を持たせるのが大人の責任だ」との思いから、学校や地域での防災教育に取り組んでいる。
 そして、「命の大切さと同時に、極限下の状況で他人を思いやることは、人間のモラルの根幹なので、防災教育は道徳教育としても適している。防災教育によって、子供たちが自分や人の命を助けられるようになるだけでなく、厳しい時代を生き抜く強い精神と思いやりの心を持つだろう」と、防災教育こそ最高の道徳教育だと言う。「ハウツー情報はいくらでも手に入るが大事なのは心で、家族に感謝する心、友達をいたわる心がないと、人助けをしようとは思わないからだ」とも。
 具体的には、次のような手順になる。まずは、しっかりした組織づくりで、首長に教育長、校長、教員という防災教育の縦軸を立てる。横軸は、自治会長、PTA会長、消防団長など地域の指導者たちで、接着剤として専門知識を持つ研究者やNPOなどが後方支援する。子供を主役に縦と横のラインをしっかり作ると防災教育は成功するという。
 次に、教員の防災教育を行う。災害や防災の歴史、災害時の行動など教え、学年に応じた教材を作る。その上で、子供たち自身で地域の危険な箇所を調べ、避難ルートを確かめ、災害マップを作らせる。災害時に学校は住民の避難場所にもなるので、避難本部の設置訓練を行う。上級生はテント立てや避難者の世話などの訓練もする。
 防災教育は地域再生にもつながる。子供たちを主役に、学校を舞台にして、先生や親たちが演出家になり、PTAや消防団が参加する。子供や家庭の防災意識を高めながら、親子関係を強め、地域の絆作りもできる。地域が全面支援して学校防災教育を行えば、子供たちの公的精神も養え、地域のつながりも強まる。
 確かに、極限の状況で自分の命を守る、人を助けるという人間本性の根幹に触れる行為なので、防災教育はモラル教育に直結しているだろう。
 大震災で再認識されたのは、神社や寺、教会などの宗教施設が、地域の避難所としても機能することだ。とりわけ古い寺社は、経験的に津波が届かない高い所にあった。
 人々の暮らしの復興は地域の再生なくしてありえない。失われた社寺の再建をはじめ、地域の人々の心の拠り所としての機能も復興できるよう、継続的な支援が求められている。
 その取り組みの柱の一つに、宗教教団が地域の防災教育に積極的にかかわっていくことが考えられよう。仏教も、死者だけでなく、生きている人の力になる道を模索している。神道の教える中今は、禅のように、過去や未来にとらわれることなく、今を懸命に生きることを強調している。
 
防災先進国として
 矢田部氏は、災害に苦しむアジア諸国とも研究交流を進め、とりわけネパールではヒマラヤ地域の地すべり防災に携わり、同国からの留学生も多く指導している。
 ネパールには仏陀の生誕地ルンビニがあり、「ルンビニ訪問年」の今年、矢田部氏は観光大使を務めている。防災先進国として世界に貢献することも、日本のこれからの大きな役割だ。

クョスコニョ    [1] 
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