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平成24年4月20日号社説 |
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国土防衛に国民の意志を
訪米中の石原慎太郎東京都知事が四月十六日、ワシントン市内のヘリテージ財団での講演で、東京都が尖閣諸島の購入を目指し、同諸島を個人所有する地権者と詰めの交渉を進めていることを明らかにしたのは、まさに快挙である。石原都知事は「東京が尖閣を守る」とまで宣言した。 政府・与党の民主党だけでなく野党の自民党さえも、決められない政治でもたついている中、大統領的な自治体首長の素早い対応が目を引く。もちろん、都議会や都民の賛成を得ないといけないので、簡単には決まらないだろうが、国土を守るという国民の気概の原点を思い起こさせたことは大きい。 国民からの募金も 慌てた政府は、藤村修官房長官が、「必要なら国が購入することもあり得る」と記者会見で語ったが、小沢一郎氏をはじめ親中派議員の多い民主党で、それを断行できるだろうか。 もちろん、必要以上に中国との対決を煽る必要はない。石原都知事の言うように、国よりも地方自治体の所有にするほうが摩擦が少ないだろう。その場合、東京都と沖縄県、石垣市の共同所有も検討されよう。 購入額は十億から二十億円と報道されている。都民の税金を遠くの島に使うのに納得いかない都民も多いだろうから、広く国民の寄付を募ったらどうか。猪瀬直樹副知事もその可能性を示唆している。つまり、国民の意志として、尖閣列島は日本の固有の領土であることを世界に宣言するのである。もしかしたら、それに賛同し、国民運動を起こす宗教団体があるかもしれない。 石原都知事が、その発表をワシントンで行ったことにも意義を感じる。日本は自力で尖閣諸島を守る意志があることを、米政府に効果的に伝えることができた。いくら日米安保条約があり、クリントン国務長官が尖閣諸島は日本の領土だと認めても、いざどこかの国が侵攻して来た時、日本人が命をかけても守る意志と行動を示さなければ、米軍も動きようがないからだ。 東京都によると、購入交渉の対象は尖閣諸島の魚釣島と北小島、南小島だ。公式には購入金額は未発表だが、中国は三百五十億円出してもいいと言っているとの報道もある。北海道などでは、主に中国系の資本に水源の森林が買い占められたり、新潟県では中国領事館が必要以上に広大な土地を取得している。条例で守るのには限界があるので、政府として何らかの対策を打ち出す必要がある。 中国外務省はもちろん「尖閣諸島は中国の領土であり、日本のいかなる一方的な措置も不法で無効だ」と反発する談話を発表した。そう国民に説明してきた以上、政府が弱腰になれば、今秋の政権委譲に混乱をきたしかねない。それでなくても、共産党幹部の汚職に国民の非難を浴び、対策に苦慮している胡錦濤政権である。北朝鮮への影響力を期待されながら、人工衛星と称するミサイル発射を止めることができなかった。中国を世界のルールに乗せるためにも、硬軟取り混ぜた外交において、特に領土問題では硬派を貫くべきだ。 平和な交易の海へ 大河ドラマ「平清盛」では清盛が日宋貿易の利に目覚めていく姿がリアルに描かれていた。その背景には、宋代における米作をはじめ精銅・製鉄・窯業などの技術的発展がある。全国的な市場形成と市場の分業化が進む中、運河を使った国内交易から、それまでイスラム商人の独壇場だった海洋での国外交易へと中国商人たちが乗り出し、博多や越後にもやって来たのである。大量の宋銭が流入し、日本が貨幣経済へと発展していく引き金となった。本来、平和であれば東シナ海は、豊かな富と文化をもたらす交易の海なのである。 中国の動向が日本の将来に大きな影響を及ぼすことは、立場の異なる人も認めるだろう。よき隣人として、共に発展し、世界に貢献していくことが日本の目指すところだ。そのためにも、領土については国家国民の意志をはっきり示すべきである。
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