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  平成24年6月5日号社説
 

太平洋を自由と平和の海に

 「オセアニアは海の世界。石器時代以来、くり返しおこなわれた民族移動によって、太平洋の島じまは共通の文化をわかちあいつつ、いっぽうで地域的な多様性をも発達させていった」
 これは大阪・吹田市にある国立民族学博物館展示ガイドの「オセアニア」の冒頭文。同館には大型帆船やココヤシの葉柄で描かれた海図も展示され、古くから数百キロに及ぶ遠洋航海を行っていたことが分かる。
 その古代からの自由と平和の海が今、中国の軍事進出により脅かされようとしている。

 太平洋・島サミット
 五月二十五、二十六の両日、沖縄県名護市で「第六回太平洋・島サミット」が開催された。サミットには日本を含め十七カ国・地域の首脳が参加し、米国が初めて代表を派遣したことは同国の太平洋重視の表れと言えよう。日米豪が安全保障も含めて太平洋の島嶼国への関与を強め、中国の進出を牽制する姿勢を打ち出したのは画期的であった。
 サミットは、海洋安全保障に関して国際法や条約を順守することや、日本が太平洋の島嶼国に今後三年間で最大五億ドル(約四百億円)を援助することなどを盛り込んだ首脳宣言「沖縄キズナ宣言」を採択した。
 報道で「陰の主役は中国」と言われたように、サミット開幕前日の二十四日、中国はサモア、フィジー、ミクロネシア、トンガ、バヌアツの五カ国の国会議長らを北京に招き会談している。いずれも中国から多額の経済支援を受けている国々で、トンガでは累積でGDP(国内総生産)の約32%にも及び、ほぼ経済的に支配されている。フィジーはボーキサイト資源が豊かで、中国の狙いもそこにある。
 野田佳彦首相は記者会見で、島嶼国の対中国債務問題について「中国を含む新興支援国が援助の透明性を高めることが重要だと確認した」と強調した。また、首脳宣言に「海洋安保など海洋に関する協力を促進することの重要性を認識した」と明記し、名指しは避けながら、中国に国際ルールの順守を求めた。
 津波などの大規模災害に備える「自然災害リスク保険」の創設や防衛交流の提唱は早期に実施し、日本が太平洋の自由と平和のイニシアチブを取るべきだ。
 親日国の一つパラオには日本のODA(政府開発援助)で二〇〇二年に再建された「日本・パラオ友好の橋」がある。第一次大戦後、日本領となった同国に日本は多額の国費を投じてインフラを整備した。太平洋戦争でパラオは激戦地となり、一万人以上の日本兵が玉砕したが、日本軍はパラオの民間人を疎開させ、犠牲者を出さなかったことから、帰還した人々は日本人の遺体を丁重に埋葬した。
 戦後、パラオを信託統治した米国は反日教育を行ったが、一向に浸透せず、今でも「扇風機」「大丈夫」など多くの日本語が使用され、日本名の子供もいるという。そんな島嶼国との友好の歴史は日本の貴重な財産だ。
 拡張を続ける中国海軍の狙いは、伊豆諸島から小笠原諸島、グアム・サイパン、パプアニューギニアを結ぶに至るいわゆる「第二列島線」まで海洋支配を広げ、米軍の接近阻止を図ることにある。
 それに対して米国は、エアー・シー・バトル(空海戦闘)で対抗しようとしている。沖縄の米海兵隊は分散配置で多くはグアムに移され、そこから東シナ海、南シナ海への緊急配備に対応することになる。

問われる日本の本気
 日本は東シナ海において海上、陸上の緊急展開、情報収集・監視能力の向上に努め、日韓の連携を強めて中国・北朝鮮への包囲網を作り、有事の際の対応能力を高めるべきだ。
 アセアン諸国では、これまで中国になびいていたベトナムやミャンマーが、資源問題などで反発を強め、米国寄りになりつつある。日本も日米豪に加えアセアン諸国との防衛協力を促進し、共同訓練を重ねる必要がある。安全保障に対して日本が本気にならなければ、太平洋の自由と平和は守られない時代を迎えている。

クョスコニョ    [1] 
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