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  平成24年8月5・20日号社説
 

危機に臨む宗教の作法

 福島での原発事故の真相が少しずつ明らかになり、原発廃絶を訴える運動が市民レベルで拡大している。宗教界においても、目に見えない危険な放射能を発生させる原発は、人間の制御能力を超えたものとの考えから、反原発に沿う考えや活動が見られる。
 そこには被曝者に対する同情も含まれ、彼らの立場に立つ慈悲心の表れでもあるのだが、反原発を政治活動に利用しようとする動きと連動することは避けようがなく、政治の不安定をもたらす要因ともなっている。これは、宗教者の平和活動によく見られた、歴史観や思想性の弱さから来る危うさと言えよう。
 終戦の日を迎える八月は、例年、戦争に対する反省の言論が盛り上がる。そこで、戦争や災害などの危機に臨む宗教の作法について考えてみた。
 
プロメテウスの火か
 原子力は人間の手に負えないとの考えから、古代ギリシャ神話にならい「原発はプロメテウスの第二の火だ」とする人たちが少なくない。プロメテウスは人類に火を与えようとしたが、全能のゼウスは、もし人間に火を持たせたら神と同じように強力な存在となるとして拒否する。にもかかわらず、プロメテウスが人間に火を教えたので、怒ったゼウスは不死の彼を山に縛りつけ、毎日肝臓をハゲタカについばまれ続ける責め苦を与えた、という。
 これは、科学技術全般に言えることで、人類に大きな福利をもたらす半面、事故などによる危険が付きまとうことへの警告であり、経済成長期の公害問題も、その文脈で理解できよう。しかし、それら科学技術の弊害も、時代を後戻りさせることではなく、より高度な科学技術と人々の努力によって克服されてきたのである。
 原発の各種事故調査委員会の報告で明らかになったのは、最悪の危機に対する備えをしなかった東京電力や政府当局の失敗である。そこには、最悪の事態は想定したくない、想定したくない事態は起こらない、との思い込みがあった。そこにはコスト優先の姿勢もあった。つまり、いろいろな影響で事態を正しく見る目を失っていたのである。
 では、宗教の作法とは何であろうか。宗教・宗派によって教えの違いはあるが、大まかに言うと、今を生きる心の姿勢を正すことである。人間は取り返しのつかない過去や、どうなるか分からない未来に影響されて、今の事態に全力を注ぐことができない。そうした一切の制約を排除し、今に集中させようとするのが宗教の作法だろう。それは、科学者や技術者の姿勢にも通じている。
 日本ではロケット打ち上げに際し、関係者が神社にお参りし、お祓いを受けるのを、非科学的と見る人もいるが、人間の心を正す作法と解釈すると、日本人が古代から継承してきた振る舞いである。先端企業にも神社があるのと同じで、人間の能力や努力の限界を知り、それを超えたものに対する畏敬の念を失わないためである。傲慢さに陥るのを避ける作法でもある。歴史的に宗教と科学は対立する場面もあったが、ニュートンが神の絶対性を証明しようとして万有引力を発見したように、互いに補完関係にあったのが大筋だろう。
 さらに言えば、科学技術を正しく発展させる上で宗教の役割が再認識されるべきである。それには、科学者と宗教者の積極的な対話が必要だろう。
 
人間への絶対的信頼
 人間生活に伴う危険を包み込み、人をしてその制御を可能にしてきたのが、宗教の作法とも言えよう。それに対して、危険は全て排除するという考えは、むしろ非宗教的姿勢である。とりわけ東洋の宗教は、悪と善は混在するものだとし、悪をも包含することで善化を促してきた。それが善悪二元論的な一神教と対照的な特徴だろう。
 原発事故を踏まえ、世界最高の安全技術を開発し、提供すれば、その恩恵は計り知れないものがある。それこそが、世界に迷惑をかけた日本の償いの道とも言えよう。
 人間の悪も見抜きながら、全体としての人間そのものに絶対的に信頼を寄せ、絶望ではなく生きる希望と勇気を与えるのが、宗教の基本である。
 二十一世紀における宗教の在り方をさらに再考していきたい。

クョスコニョ    [1] 
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