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平成24年3月20日号[天地] |
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釜石での慰霊祭に参列した後、花巻に行き、宮沢賢治記念館を訪ねた。小高い丘の上にある同館への登り口に「われらは世界のまことの幸福を索ねよう」という、賢治が『農民芸術概論綱要』に記した言葉が石に刻まれていた▼展示を見ると、賢治が原体剣舞など岩手に伝わる民俗芸能に深く影響されていたことがよく分かる。原体剣舞は、死者に扮する踊り手をすべて子供たちが演じることで、その清らかさにより先祖の霊を鎮めようとしてきた念仏踊り(鬼剣舞)の一種とされる。そこからも当地のつらく悲しい歴史がうかがえる▼賢治が浄土真宗から日蓮宗に改宗したのは、法華経の行動性が一つの要因とされるが、キリスト教の影響も無視できない。宣教師夫妻から聖書を学んだ賢治は、キリスト教の発想から法華経に目覚めたのではないか。浄土真宗とプロテスタンティズムとの近似性はよく論じられるが、釈迦を永遠実在なる仏の受肉とする法華経も、キリスト教に似ている▼泊まった「ケンジの宿」に同宿の女性四人は、釜石にカウンセリングのボランティアに、海上自衛隊員は大船渡での慰霊祭に行くと言う。翌朝、JR釜石線の無人の新花巻駅に置かれていたノートに、ボランティアや観光で訪れた人たちが思い思いの言葉を残し、それに駅員が返事を書き込んでいた。人を思いやる心が、日本人をつないでいると感じた。
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