出雲大社で「平成の大遷宮」 本殿に大国主神が御遷座 6月9日まで神楽など奉祝行事
本殿前で遷宮を奉祝する島根県津和野町の「鷺舞」=5月12日
天皇陛下からの御幣物を納めた唐櫃とともに本殿に向かう勅使一行=5月11日
島根県の出雲大社で平成二十年から進められている六十年に一度の「平成の大遷宮」がクライマックスを迎えた五月十日夜、修造なった本殿に御祭神の大国主神を戻す「本殿遷座祭」が行われた。翌十一日には天皇陛下の御幣物を本殿に供える「本殿遷座奉幣祭」があり、六月九日まで神楽やコンサートなどの奉祝行事が続く。
十日午後七時からの本殿遷座祭では、祭神が置かれている仮殿で千家尊祐(せんげたかまさ)宮司が祝詞を奏上。明かりを落とした境内を、神職ら約百六十人が白い布に覆われた御祭神を本殿に遷した。その様子を、全国の神社や御遷宮奉賛会関係者、氏子らの参列者ら約八千人が息を凝らして見守る。午後に上がった雨が神事が終わった九時半頃に再び降り始め、参列者から「これは神様の喜びの雨、朝からのは清めの雨」との声も聞かれた。 翌十一日は曇りで、午前十時から「本殿遷座奉幣祭」。千家宮司が本殿の大国主神に祝詞を奏上し、御幣物の絹の布を納めた唐櫃が神職に担がれ本殿に運び込まれると、天皇の勅使・筑波和俊掌典から千家宮司に手渡され、宮司により神前に供えられた。 続いて、勅使の祭文奏上や巫女舞などがあり、三笠宮家の長女彬子(あきこ)さま、高円宮家の次女典子さま、遷宮奉賛会長の奥田碩・経団連名誉会長、副会長の米倉弘昌・経団連会長、青木幹雄・出雲大社総代らが玉串を捧げた。本殿の周りには約一万人が参列。一般の参拝者は遠巻きにして歴史的な神事に立ち会っていた。 京都府亀岡市から来た出雲大神宮崇敬会会長の前田逸郎さん(73)は「六十年に一度という歴史的な時に生きている私はほんとうに幸せ。国づくり、人づくりを感じる。ますます魅力ある国づくりにまい進したい」と、出雲大神宮の岩田昌憲宮司は「仮殿から本殿に遷られて神様はお喜び、ますます御神威が高まる。国全体に行きわたって、これからはいい年になる」との感想。出雲大社をはじめ島根県の二十社に絵を奉納し、五月三十一日にはその映像を交えたコンサートを行うマークエステル画伯は、「ここに来るといつも深い感動がある。六月一日に奉納する三点目の絵は、千家宮司の祖先アメノホヒを描く」と語った。 午後一時過ぎから本殿に参拝できるようになると、すぐに
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日文研フォーラムで新視点 中世の密教僧と神祇崇拝 京都市
中世の密教と神祇を論じた日文研フォーラム=5月14日、京都市内の会場
国際日本文化研究センター(日文研、京都市西京区)主催の定期フォーラムが五月十四日、同市内で開かれ、同センターの外国人研究員アンナ・アンドレーワ氏が「中世日本における密教僧と神祇崇拝」と題して講演した。 同フォーラムは、最先端の日本研究を行っている海外の学者の自論を紹介する場となっており、同センターの末木文美士教授(仏教学、日本思想史など)がコメンテーターを務めるケースが多い。 アンドレーワ氏は、ロシアのイルクーツク国立言語大学を卒業後、国費留学生として金沢大学で学んだ。ケンブリッジ大学で博士号を取得し、ハーバード大学ライシャワー研究所リサーチフェローなどを経て、現在、ハイデルベルク大学カール・ヤスパス・センターアカデミックフェローを兼任している。専門分野は日本宗教、日本前近代文化・宗教史。 同氏はまず「中世日本の神々はどのような存在だったか」と問題提起し、「最近、仏教寺院などで発見された中世の資料から、密教に関心を持っていた僧侶や行者などの儀礼的活動と思想が、神々の認識に大きな影響を与えたことが分かる」と述べた。 その上で、「古代から篤い信仰を集めた三重の伊勢、京都の比叡山、奈良の三輪山などの聖地で、中世の密教僧と行者の交流によって神仏習合が進み、さらに両部曼荼羅が適用されていった」などと研究成果を披瀝。映像も交え、具体例を説明した。 第一例として、三輪山の神々について日本書紀が「王権を守る神々」と記していることなどを指摘。平安・鎌倉前期の本地垂迹説にも大きな役割があるとし、仏と神の関係が密教でさらに意味付けが進み、普及するようになったという見解も示した。 そして同氏は、大和寺院での僧たちの動きから、伊勢神宮との交流が活発だったことがうかがえるとも述べ、その好例として・・・
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