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  平成25年4月5日号社説
 

成長する日本と日本人に

 新年度が始まり、全国の学校や職場で多くの若者たちが、新しい人生のステージでスタートを切った。彼らのエネルギーと好奇心が、日本の未来を切り開いていくことを期待したい。彼らを迎える立場の人たちも、気持ちを新たに同じスタートラインに立ち、刺激を受けながら希望を共有できる環境づくりに取り組むことが求められている。
 安倍政権の本格スタートに伴い、大胆な財政・金融政策で株価が上昇し、円安が続いている結果、日本経済は久し振りの上昇気流に乗りつつある。さらに効果的な成長戦略の実施で、実体経済を充実させていかなければならない。
 もっとも、国を富ませ、強くするのも人であり、政治の要諦も人づくりにあることは、昔も今も同じである。

恩返しのために
 春の選抜高校野球で印象的だったのは、被災地の福島県から二十一世紀枠で出場した県立いわき海星高校である。第一試合で、同じ二十一世紀枠の北海道遠軽高校と対戦し0−3で惜敗したが、最後まで高校生らしい全力プレーだった。選手たちが口にしていたのは、お世話になった人たちへの「恩返し」で、後日、吹奏楽部の演奏で応援してくれた所沢西高校の演奏会に訪れ、いわき市の郷土芸能を披露していた。
 私たちは学習や訓練、実践を通して新しい知識や技能を身に付け、成長していく。若者たちとの座談会でファストフードの経営者が、「自分の成長を実感できる人ほど長続きする」と語っていた。それは、誰にも「成長したい」という欲望があるからだろう。
 社会に出ても、そこから本当の成長が期待されるし、成長しなければ競争に勝てないという厳しさも体験する。しかし、大切なのは、自分の何を成長させるかだろう。
 古今東西の宗教が共通して説いているのは、魂の成長の重要性である。心ではなく魂なのは、人間を超えた存在を意識しているからだ。神仏とも宇宙の本体とも言えるが、それと自分とのつながりを感じ、理解を深めることで、私たちは持続的な安心感と成長への意欲を持つことができよう。
 人生が苦難に満ちていることは仏陀が教えた通りで、それも魂を成長させるためととらえられれば、乗り越えられる試練だと思えよう。根底には、大いなる存在が私を不幸に陥れるはずがないという信頼感がある。もちろん、きれいごとだけで生きていける社会ではないのだが、ふと自分を見ているもう一人の自分、そんな自分を超えた存在に思いを馳せると、少し気持ちが楽になるのではないだろうか。
 「恩返し」の感覚に感動したのは、自分を超えた周りの人たちや環境、さらに他界した先祖などへの思いに通じるからだ。「保守主義の父」と言われる英国の政治家で哲学者のエドマンド・バークは、国家は先祖たちと現在の私たち、そして子孫たちの三者による共同作業だと言っている。日本では上杉鷹山が「国家は、先祖より子孫へ伝え候国家にして、我れ私すべき物にはこれ無く候」と述べている。ケネディ米大統領も高く評価した、江戸時代の米沢藩主だ。
 自分という時空に限定された存在を超える感覚が、私たちの倫理性を養い、限りなく成長を志向する意欲を生み出しているのである。

今に全力を投じる
 子育ては親育てと言われるように、大人はとりわけ子育てを通して成長させられる。
 さらに年齢を重ねていくと、ともすれば現状維持になりがちだが、それでは高齢化に向かう日本の将来は暗いものになってしまう。
 六十五歳まで定年が延びたのは、生活上の必要性以上に、後進の指導や社会貢献に力を発揮すべきとの時代の要請とも考えられよう。
 禅宗では平常心(びょうじょうしん)を説くが、その意味は平常でない、つまり無常なのが平常である現実を認めることだという。そして今、目の前のことに全力を投じる。すると、今に含まれる過去も未来も、解決の道が見えてくるのである。
 この国を強くするには、人々の宗教性を回復するのが、遠回りのようでも近道ではないだろうか。

クョスコニョ    [1] 
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