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  平成25年11月5日号社説
 

東アジア古代史の中の神宮

 伊勢神宮が成立する大きなきっかけになったのが、壬申の乱で吉野から美濃に向かう大海人皇子(後の天武天皇)が妻(後の持統天皇)らと、今の三重県四日市の海蔵川の河口で天照大神を拝したことにあるとされている。『壬申の乱』(吉川弘文館)などの著書がある倉本一宏・国際日本文化研究センター教授は、実際には太陽を拝んだのであろうと言う。当時、伊勢で信仰の対象になっていたのは夫婦岩であった。夏至の日には岩の真ん中から太陽が昇り、天気がいいと、その向こうに富士山が見えるからだ。
 乱に勝ち、飛鳥で即位した天武天皇は神宮を整備し、皇女を斎宮として遣わした。晩年の持統天皇が無理をして伊勢に行幸していることから、そのころ本格的な社殿が完成したものと考えられている。倉本氏は、壬申の乱の首謀者は持統天皇で、わが子・草壁皇子に皇位を継がせるためだったとする。

隣国を侵略する中国
 天智・天武・持統の三代を通して、古代律令国家が成立するのだが、その構想の始まりは六四五年の乙巳の変(大化の改新)である。背景には東アジアの激動があり、同年、隋の高句麗征討が始まっている。五八九年、四百年ぶりに中国を統一した隋は、周辺への侵略を始めたのである。
 中国では隣国を征服すると、降伏した兵を自国に取り込むと危険なので、別の国に振り向けるのが常だという。後に元は、征服した高麗の兵を日本に振り向けてきた。中国の周辺国は常にそうした危険にさらされているのである。同じ危険を感じていた新羅と百済は日本に使節を送り、協力を求めている。
 隋は高句麗遠征の失敗が原因で滅び、唐に代わるが、朝鮮への侵攻は変わらない。唐は新羅と結んで六六八年に高句麗を滅ぼし、六六〇年には百済を滅ぼした。ところが四世紀頃から日本と交流していた百済は、王族を日本に住まわせていた。唐軍を攻めた百済の残党が、日本から王族を呼び戻し、百済再興を目指した戦いに日本が支援したのが、白村江の戦いである。
 当時の日本の人口は約二百万人で、西日本に住む約百万人の中から二万人の兵が海を渡ったというから、かなりの割合である。特に多くの兵を出したのが備前と伊予で、船は小さな漁船まで動員された。指揮を執ったのは乙巳の変を成功させた中大兄皇子である。しかし六六三年、日本軍は唐・新羅連合軍に大敗してしまう。
 敗因は兵器の差もあるが、統制のとれた軍隊と豪族の寄せ集めの軍隊との、組織力の違いが大きかった。国力の圧倒的な差を見せつけられた日本は、律令制に基づく中央集権国家づくりを急ぐようになる。
 そんな中、今度は唐と新羅が六七一年に戦争状態になり、両国から日本に支援を要請する使者がやって来た。天智天皇は病床にあったので、対応したのが大友皇子である。教養があり唐に近い大友皇子は、唐の要請に応じてもう一度新羅を征伐しようと考え、兵の動員を始めたが、地方には朝廷への不満が鬱積していた。大海人皇子は隠棲した吉野から、そうした動きを見ていたのである。
 西日本は白村江の戦いで疲弊していたので、東日本から集めることになった。そして、美濃などで動員が整った時点を見計らい、大海人皇子は吉野を出発したので、四日間で四万もの兵を味方に付けることができたのである。

革命のない国づくり
 天武天皇が目指したのは、中国のような革命のない国づくりである。天皇一人に権力を集約させず、天皇は天帝から任命されるのではなく、天照大神の子孫という血縁で継承される仕組みにした。
 記紀の編纂において天照大神のモデルになったのは持統天皇である。天照大神が予定していた自分の子供が亡くなったので、孫のニニギを天孫降臨させたように、持統は天皇にしたかった息子の草壁が夭折したので、孫を文武天皇にしている。
 歴史に学ぶことで、現代を生きる知恵が湧いてくる。

クョスコニョ    [1] 
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