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平成25年10月05日号[天地] |
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宮崎駿監督のアニメ「風立ちぬ」は、まさに監督の遺言のような作品だった。真剣に人を愛し、真面目に仕事をし、そして「生きよ」という。堀辰雄の小説『風立ちぬ』に、ゼロ戦などの設計者・堀越二郎の半生を重ねたもので、小説では「風立ちぬ、いざ生きめやも」(風が立った、さあ生きていこう)のフレーズが、死を超えた生の意味を問いかけている▼飛行機が大好きだが近視のためパイロットをあきらめ設計者になることにした二郎は、東大を出て飛行機製造会社に就職する。ドイツの視察から帰国した二郎は、初めて艦上戦闘機の設計を任せられるが、ようやく完成した戦闘機は飛行試験中に墜落。失意の二郎は軽井沢へ静養に。そこで関東大震災のとき助けた少女の菜穂子と再会し、交際し始める。しかし、菜穂子は結核を患っていた▼ラストシーン、二郎の夢に現れた菜穂子は、明るく「生きて」と語り掛ける。先の大戦で亡くなった人たちのそんな声を背に、多くの日本人が戦後復興に励んだ。自分の理想である美しい飛行機を造るため真っ直ぐ生きる二郎に、その姿が重なる。それは、震災復興の今の日本にも通じるように思う。今を生きることに一生懸命になること、それは古代から受け継いできた日本人の生き方である。
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