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  平成26年5月5日号社説
 

昭和の日と憲法記念日に

 大型連休の祝日に昭和の日と憲法記念日がある。前者は昭和天皇の誕生日で、平成十九年に国民の祝日に制定された。昭和天皇は昭和二十一年元旦に出された「新日本建設に関する詔書」の冒頭に、自らのご意思で明治天皇の五箇条の御誓文を掲げられた。そして、ここに示されているものは公明正大であり、何も加えるものはない。この趣旨に則って、新しい日本を建設したい、と述べられている。
 同詔書は天皇が現人神であることを否定された「天皇の人間宣言」として紹介されることが多いが、その趣旨はむしろ冒頭部分にあったことが、後の記者会見で昭和天皇ご自身が明らかにされている。

歴史踏まえた憲法を
 GHQ(連合国軍総司令部)による占領統治が始まったばかりの新年の詔書に、あえて五箇条の御誓文を掲げたことは大きい。その意味について昭和天皇は、「日本の民主主義は、明治天皇が神に誓われて発した五箇条の御誓文に基づいて制定された明治憲法に始まるものであり、外国から輸入したものではないことを国民に示す必要があった」「国民が日本の誇りを忘れないよう、立派な明治天皇のお考えがあったことを示すために、発表することを希望した」という趣旨のことを、昭和五十二年八月二十三日の記者会見で語られている。
 ここから私たちが読み取るべきは、日本という国を体現して生きてこられた昭和天皇の歴史観であり、それに基づく憲法観である。
 日本は古代から中国文明の周辺にある国として、その大きな影響を受けて国づくりをしてきたが、律令制度や仏教などの先進文化を受け入れながら、基本にある日本文明は独立したものとして継承されてきている。祭祀的性格の王(後の天皇)を頂く族長たちの連合国家的な大和王権に儒教に基づく律令制が導入され、鎮護国家を旨とする仏教が渡来してきた。そして、いずれも日本の伝統に合うよう変容させながら受容していったのである。例えば、科挙や宦官などの制度や易姓革命の思想は受け入れなかった。
 その結果、天皇家の血統を守ることに価値が置かれ、政治体制が変化しても、歴史の継続性が保持されたのである。
 民主主義についても、既に聖徳太子は十七条憲法の第一条で和を唱え、上の者も下の者も協調・親睦の気持ちで論議するなら、自ずと道理にかなうようになるとしている。天皇の神聖性のもとでの、部族共同体的な日本社会の現状を踏まえたものであり、族長たちを官僚化することで、律令体制を整えていった。明治の日本は、欧米先進諸国に学びながらも、古代の太政官制度を復活させる形で、日本を近代国民国家につくり変えたのである。
 そうした日本の民主主義の歴史は、フランス革命に代表されるように市民が王権を制限する形で形成されたものではない。また、日本という国は古来からあり、長い歳月をかけて大和王権が国家規模の支配を確立していったのであり、米国のように荒野を開拓して新国家を建設したのではない。国のかたちという憲法の原意からすれば、憲法は当然国の成り立ちと歴史を踏まえたものでなければならない。
 そう考えると、現憲法は、その成立過程の異常さからしても、「国民の憲法」と呼べない面が強い。基本的人権や法の支配など人類共通の価値は守りながら、日本の伝統に基づき、国民が誇りを持てるような内容に、少しずつでも改正していくのが当然であろう。もちろん、既に制定から七十年近くを経て、現状に合わなくなっている箇所につても同様である。とりわけ、安全保障にかかわる部分は緊急を要する。

家族の価値を明記
 自民党が憲法草案の第三章(国民の権利及び義務)で、家族の尊重と、家族は互いに助け合うことを規定したのは、一つの見識と言えよう。かつてはあえて言う必要のなかった道徳が、今では言わないと忘れられてしまう風潮になってしまったのである。
 東日本大震災で人々が体験したのは、自然に助け合う絆の力こそが、一人ひとりの命を救い、地域を復興させるという事実である。貴重な国民の体験も、憲法論議に反映させてほしい。

クョスコニョ    [1] 
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