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  平成26年7月5日号社説
 

何が戦争を防ぐのか

 安倍政権は七月一日、首相官邸での臨時閣議で、これまでは保持しながらも憲法の制約により行使できないとされてきた集団的自衛権について、行使は限定的に容認されると解釈することを決定した。これにより、戦後日本の安全保障政策は大きく転換されたことになる。「戦後レジームからの脱却」を目指してきた安倍晋三首相は、その一つのメルクマールを超えたと言えよう。
 もちろん、これで終わりではない。自衛隊法などさらに現実的かつ詳細な法整備を進め、実際に戦争が起こらないような国づくりを進めなければならない。それには国民の理解と支持が不可欠であり、幅広い議論の盛り上がりが必要とされる。

集団安全保障の時代
 日本が一国だけで国を守ることができないのは、戦後世界の現実を見れば明らかである。集団的自衛権を含む集団安全保障の歴史は、独立を回復した日本が日米安保条約を結び、さらに一九六〇年の改定により、より相互性の高いものとしたことで、既に始まっていた。安保改定に政治生命を懸けたのが安倍首相の祖父・岸信介元首相で、幼い安倍首相が当時のデモ隊のまねをして「アンポハンタイ!」と言いながら家の中を歩き、祖父を苦笑いさせたという話も伝わる。
 六〇年安保の当時に比べ、反対運動がそれほどの広がりを見せないのは、国民の認識が変わってきたからだろう。戦後歴史の大きな流れを変えた潮目の一つが、一九九〇年に起きた湾岸戦争だった。多国籍軍に参加できない日本は、約一兆二千億円の支援をクウェートに行ったが、戦後、同国政府が米紙に出した感謝広告に日本は含まれていなかった。
 もう一つの潮目は二〇〇二年、平壌で行われた日朝首脳会談で、北朝鮮の金正日国防委員長が日本人の拉致を認めたことだ。日本政府は北朝鮮による拉致から国民を守れなかったことを暴露されたのである。
 さらに近年、中国の軍拡や北朝鮮の核・ミサイル開発など日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増してきている。戦争は能力と意図によって引き起こされる。日本と国境を接し、あるいは隣接する国が、その双方を満たしつつあることが、安全保障に関する国民の関心を高めていると言えよう。
 安倍首相は閣議決定後の記者会見で、「いかなる事態でも国民の命と平和な暮らしは守り抜いていく。私にはその大きな責任がある」と語った。憲法解釈の変更については、「現実に起こりうる事態に何をなすべきかを議論し、万全の備えをすることが、日本に戦争を仕掛けようとする企みをくじくことになる」と述べ、戦争が起こるのを防ぐ抑止力の強化に目的があることを指摘した。一国の責任者として当然の言葉である。
 集団的自衛権の行使容認に反対する人たちの理由は、「戦争に巻き込まれるから」である。同じ主張は六〇年の安保改定にもあったが、その後、日本は米国の戦争に巻き込まれることはなく、むしろ、日米安保があったから、戦争に巻き込まれなかった。憲法九条を世界遺産にという運動もあるが、同様の平和条項は既に多くの国が憲法に採用しており、珍しいものではない。理想論を語るのは自由だが、戦争という最もリアルな問題には、リアリズムで対応すべきである。
 これから詳細な法整備を進めるに際し、安倍政権にとって必要不可欠なのは国民の信頼である。さらに国の防衛は、大規模災害と同じく党派を超えて対処すべき問題であり、そうした政治風土が醸成されることを期待したい。

宗教界の反応は
 集団的自衛権行使の限定的容認についての宗教界の反応は、当然ながら、国民の意見を反映して多様である。しかし、神道、仏教をはじめ日本宗教には、古来から鎮護国家の伝統が一つの柱であったことを忘れてはならない。渡来の仏教も、その趣旨に沿って受容されたのである。
 先の大戦に際し、戦争協力した歴史を反省する教団も多いが、明治以後の近代国民国家づくりに、とりわけ国民精神の形成において宗教が果たした役割は、決して否定的に語られるべきではない。そのことも踏まえ、今後の宗教界の動きを注目したい。

クョスコニョ    [1] 
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