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  平成26年9月20日号社説
 

霊的渇望に応えるには

 本紙四、五面で講演録を掲載した千葉県柏市の上橋泉市議は、今の日本は浄土思想がはやった平安時代末期に似ていると言う。戦乱や自然災害が続いて人々の暮らしが困難になり、来世での阿弥陀如来の救いを願望するようになった時代である。
 確かに、東日本大震災をはじめ今までなかったほどの自然災害に見舞われ、アベノミクスによる経済の再生も地方には及ばず、多くの人たちが将来の生活に不安を感じている。加えて、団塊世代が高齢期に入ったことで、大量死の時代を迎え、唯物的な戦後教育を受けた世代が、根本的な死への恐怖を解決できないまま、人生の最期を迎えようとしている。こうした大きな不安を払拭するのが「21世紀の浄土思想」であろう。

臨死体験をめぐって
 それを考える上で、十四日に放映されたNHKスペシャル「臨死体験 立花隆 思索ドキュメント 死ぬとき心はどうなるのか」は興味深かった。二十年前に臨死体験の本を出した立花氏が七十四歳になり、しかも膀胱がんが再発して、自らの死を自覚せざるを得なくなったとき、再び臨死体験について調べたくなり、世界の研究の最先端を訪ねている。
 番組の最後、立花氏が二十三年ぶりに再会したのは、臨死体験を世界で初めて報告したレイモンド・ムーディ博士である。当時、死後の世界はないと言っていた。ところが、その後、精神を病んだ博士は、自殺を図って自ら臨死を体験して以後、死後の世界を信じるようになったという。博士は、心は永遠だと言う今の自分に矛盾を感じているが、そもそも人生とは死ぬまで理解できないもので、自分の人生の意味を問いながら最期を迎えることでは、死後の世界を信じない立花氏と同じだ、と語っていた。
 臨死体験に関連する脳科学の研究では、人が偽の記憶を持つようになるメカニズムが解明されていた。脳が高度に発達し、想像力を持つようになった人間は、偽の記憶を持ちやすいという。もっとも、それは人類が文明をつくった力でもある。
 国際意識学会では心の一部である意識の研究が進んでいた。感覚や感状、行動、記憶を統合するのが意識で、自我と言っていい。ジュリオ・トノーニ教授は膨大な数の神経細胞がクモの巣のように結合し、情報を統合して作られるのが意識だという。その人の世界像と言っていいだろう。トノーニ教授によると、脳が作る意識は動物にもあり、機械も持つことができるという。もっとも、死ぬと心は消えることになるのだが。
 臨死体験に特有の神秘体験が、古い脳の作用で起こることを解明したケビン・ネルソン教授は、立花氏に「なぜ神秘体験をするのか」と聞かれ、「科学は仕組みを追究するだけで、なぜかとの問いは人それぞれの信念に委ねるしかない」と答えている。それが、科学と宗教の領域なのであろう。ネルソン教授は、重病になった敬虔なカトリック教徒の妻を、その信仰に沿って看取っていた。
 取材を終えた立花氏は、「どんな科学や哲学をしても、本当のところはよく分からないのが人間で、それだから面白い」と語っていた。人知の発達がまだ及ばないのか、それとも、現世の論理で来世のことを考えるのが、そもそも無理なのだろうか。
 しかし、脳科学の成果は、人間存在の意味についても多くの示唆を与えてくれる。夢や神秘体験が大脳皮質のような新しい脳ではなく、爬虫類以来の古い脳で起こっているのは、人と自然とのつながりの深さを感じさせよう。

死を希望ととらえる
 二十一世紀の浄土思想の要件を考えると、何より死を恐怖ではなく希望ととらえるべきだろう。それも、現世を否定しての来世の希望ではなく、現世を集約し、来世へと続く魂への希望である。さらに、生活の個人化によって希薄になった、人と人とのつながりを深めるものであってほしい。時代性で言えば、科学的知見と整合性を取る必要がある。
 今の人たちはスピリチュアルブームや仏教書の人気に見られるように、人知を超えた聖なる存在との交流を求めている。それが、自分の心を癒やし、育ててくれると思っているからだ。一方で、教団に拘束されることは嫌っている。それにどう応えていくかが、宗教には問われている。

クョスコニョ    [1] 
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