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  平成26年7月20日号社説
 

神々と共にある暮らし

 田植えが終わる時期、各地で「さのぼり」と呼ばれる神事、ないしは慰労会が行われる。東北、関東では「さなぶり」という田植の終りに田の神を送る祭りで、田植始めに行う「さおり」に対応している。「さ」は「早乙女」「早苗」など、稲作に関する言葉の頭に付き、田の神を意味する。

サッカーの神
 日本人の民俗文化を形成してきた稲作に典型的にみられるように、自然界や人々の営みの背後には神がいて、神に仕えながら、人々と共に働くことが大切にされてきた。同じように、球場には野球の神が、サッカー場にはサッカーの神がいるという感覚が私たちにはある。だから、競技場に入る時、去る時には自然に礼をするようになる。
 ブラジルでのサッカー・ワールドカップで日本は一勝もできないまま一次リーグを敗退したが、神に見放されたわけではなく、神の試練と受け止めるべきだろう。優勝も狙えると、少しいい気になっていたのを戒められた。まだまだ苦労が足りない、努力すればもっと強くなれると、励まされたのである。
 こうした感性は、もちろん日本人だけのものではない。むしろ、世界の各民族に共通する宗教的感性であろう。六月二十二日に放映されたNHKスペシャル「民族共存へのキックオフ〜オシムの国のW杯〜」は、その思いを再認識させるものであった。
 サッカーの元日本代表監督イビチャ・オシム氏は旧ユーゴスラビア、現・ボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボで生まれた。サラエボのサッカーチームで頭角を現し、東京オリンピックにはユーゴスラビア代表として出場し、日本との順位決定戦で二ゴールを挙げている。
 一九八六年にユーゴスラビア代表監督に就任し、九〇年のワールドカップイタリア大会ではベスト8に躍進したが、その後、ユーゴスラビアは分裂してしまう。九一年夏にはスロベニアとクロアチアが連邦から離脱し、両国の選手抜きで欧州選手権に臨むことになった。九二年、ユーゴスラビア代表チームは国連の制裁決議を受け、欧州サッカー連盟、国際サッカー連盟の国際大会に参加できなくなった。
 ボスニア・ヘルツェゴビナが独立したのは九二年。しかし、正教徒のセルビア人、ムスリムのボシュニャク人、ローマ・カトリック教徒のクロアチア人の対立から紛争が勃発し、悲惨な民族浄化さえ起き、二十万人もの犠牲者を出してしまった。九五年に国際連合の調停で紛争は終結したが、各民族の間には深い傷跡が残っている。
 こうした民族対立をサッカーで乗り越えようと考えたオシム氏は、民族ごとに分裂しているサッカー連盟を統一し、ブラジル大会参加への道筋を開いた。旧ユーゴスラビアから分離独立した国々では、まずクロアチアとセルビアが九八年フランス大会に、スロベニアが二〇〇〇年日韓大会に出場した。ボスニア・ヘルツェゴビナが遅れをとったのは、ムスリム系が多数を占め、セルビア系、クロアチア系が排除されていたから。それを乗り越えさせるのがオシムの悲願だった。
 今回の代表チームではセルビア系、クロアチア系の選手も活躍し、イランに3│1で勝ち、記念すべきワールドカップでの初勝利を挙げた。この快挙に、国民が湧き立ったのは言うまでもない。まさにサッカーの神が微笑んだのである。

人間を超えた存在
 近代がたどり着いた民主主義は、最善ではないが最悪を防ぐ政治体制だと言われる。民主主義の核心は基本的人権の擁護だが、それが人間中心主義に偏してしまうと、自然破壊をはじめ様々な弊害を生むことが明らかになった。人間らしい暮らしを守るには、人間を超えた存在を意識した文化を大切にすることが鍵になる。
 水田の緑が日ごとその色を濃くしていくのを見れば、人間を超えた大いなる存在の働きを感じるのが、自然の感性だろう。世間の煩わしさを煩わしいと思わず、悩むのではなく考え、より良い明日のために汗を流す気力や知恵も、そこから湧いてこよう。

クョスコニョ    [1] 
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