総計: 1451617  今日: 262  昨日: 216       Home Search SiteMap E-Mail
The Religion News
最新号案内
社説
天地
宗教新聞社講演会
お申し込み
宗教新聞に期待します
訂正記事
 社説平成26年 
 社説平成25年 
 社説平成24年 
 社説平成23年 
 社説平成22年 
 社説平成21年 
 社説平成20年 
 社説平成19年 
 社説平成18年 
 社説平成17年 
 社説平成16年 
  メニュー
最新号案内
社説
天地
お申し込み
訂正記事
  リンク集
    宗教界
 購読お申し込み・お問い合わせはこちらフォーム入力できます!
こちらまで
  検索エンジン
記事が検索できます!
  平成26年10月20日号社説
  「同行二人」という生き方   開創千二百年を迎え、巡礼者が増えている四国八十八カ所霊場。白装束のお遍路さんが被る菅笠(すげがさ)には「同行二人(どうぎょうににん)」と書かれている。空海・弘法大師とともに歩いているという意味で、いわゆる弘法大師信仰の典型であり、空海の没後、巡礼が広がるにつれて人々の間で語られるようになったとされる。「一人で歩いていたが、気が付いたら隣にお大師さんがおられた」という感動的な体験もあったのだろう。  来年が開創千二百年の高野山では、空海は亡くなったのではなく、入定、つまり坐禅の状態で、奥之院で生き続けているとされている。生きて、人々の救いのため心を尽くしているとの信仰が、形成されてきたのである。  人間形成の道  同行二人という考えは、遠藤周作が『沈黙』などで唱えた「同伴者イエス」と通じ合うものがある。生前、遠藤は「共に苦しみ、共に悲しんでくれる存在、こちらが裏切っても、裏切った自分を愛し続けてくれる存在が『同伴者としての神』です」と語っている。欧米のキリスト教では「父なる神」のイメージが強いが、それに対して「母なる神」の側面を強調したのだろう。  一神教でいう神は人間から遠い存在のイメージが強いが、日本人は伝統的に神を身近な存在としてとらえてきた。だからいろいろな神がいて、多神教の構造をしているのだが、一神教と対立するものでもないだろう。  空海の足跡をたどると、都の大学での学問をやめ、四国などの山野で修行したのは、日本の自然に基づいた山岳信仰に引かれたからである。そこで、断片的に入ってきていた雑密を学び、「大日経」を知って、密教を本格的に学ぶため唐への留学を決意した。  大日如来は宇宙の実相を仏格化した根本仏で、日本に入ると太陽神の天照大神と習合される。そうした神仏習合に決定的な役割を果たしたのが、空海が持ち帰った密教である。密教によって日本人の伝統的な信仰が、仏教という世界宗教と融合し、さらに魅力的な教えとなって人々の間に広まったのである。鎌倉以降の仏教の庶民への浸透にも、空海は大きな役割を果たしている。  修行僧によって始められた四国遍路は、江戸時代になって庶民の信仰観光になる。そして、いつからか阿波(徳島)は「発心」の、土佐(高知)は「修行」の、伊予(愛媛)は「菩提」の、讃岐(香川)は「涅槃」の道場とされたのは、人間形成になぞらえたからだろう。四つの県の自然環境も、ほぼそれに沿ったものになっている。霊場は山の中から農村、街中までいろいろな暮らしの場にあり、日本人の暮らしを歴史的に体験できる道程にもなっている。  歩くことにより自分自身を見つめ、お接待など人との出会いや自然と触れ合った気付きにより、自分の成長を感じていたのである。大人が自分を育てる方法として、見直されてもいい。  四国遍路だけでなく西国観音霊場巡りなど、日本には各地に信仰に基づいた霊場巡りの歴史があり、神仏霊場巡拝の道のように新しく創造されてもいる。意味のある観光として、地方創生にも生かすことができよう。  自分を見ている自分  人類は直立歩行をするようになって声帯が下がり、複雑な言語を発することができるようになったとされる。アフリカら世界に出たホモ・サピエンスがクロマニヨン人などに負けなかった大きな理由は、コミュニケーションによる協力にあるという。  同行二人になぞらえると、特に信仰がなくても、自分を見ている自分がいるという感覚は誰にでもあり、その意味では私たちは生まれながらにして同行二人なのである。つまり、私たちは自分と対話しながら、他者との交流の中で暮らしている。そうした自分の在り方を、シンプルな形で見せてくれるのが、特に歩き遍路の良さなのだろう。宗教をはじめ各地の文化が持っている人づくり、人育ての経験を今に生かす知恵が求められている。
クョスコニョ    [1] 
 前のテキスト: 平成26年11月5日号社説
 次のテキスト: 平成26年10月5日号社説
 特集
 社是
syaze1
syaze2
syaze3
rn1
space
 -宗教新聞社- The Religion News Copyright (C) 2004 All rights reserved.